なんか、夢みえてぇ
カーテンの隙間から光がさして、昨日あれほどアルコールを口にした私にしては珍しく凄く目覚めの良い朝だった。
上半身を軽く起こせば、隣に寝ていたダイもゆっくりと目を開ける。
「ごめん、起こしちゃった?」
「んーん……」
ダイは目を擦りながら欠伸をみせてから、私の腰に手を回して布団の中に引き摺り込んでいく。
「ちょっと、やめてよ。くすぐったいし」
「いーじゃん」
「駄目だってば」
「はー。なんか、夢みてぇ……」
「夢だったりして」
ギュッと腕を回されて、私は完全にダイの抱き枕状態。
「えー、やだよ」
なんて、子供みたいに唇を尖らせるダイがいて思わず笑ってしまう。
「ねぇ、笑わないで聞いてくれる?」
「んー?」
「子供の頃ね、ピーターパン信じてたんだ」
「あー、分かるかも……」
「夜遅くまで窓開けて待ったりしてたんだけど、来なかったんだよね」
「ははっ、俺もやったやった」
なんてダイは笑い声を上げた。
抱きしめられながら、頭をポンと撫で下ろされて、額に軽いキスを落とされる。
こういう気持ちを何ていうのか、一言で表すのは難しいけど。
幸せなんだろうな、と思う。
ダイと再開してから、思い出した事。
ずっと考えていた事。
ダイはきっと笑わない。
応援してくれる──。
「それでね、夢をね、子供逹に伝えられたらって……」
「……」
「私、また絵本描き始めたんだ」
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