私のこと、好きだったの?
「……っ」
「いつだっけ?ほら、えーと」
「お前、馬鹿か?」
「ほら、あれ?私が高校生の時にさ真っ赤な顔して」
「お前、何年前の話だと思ってんだよ」
「私の事、好きだったの?」
「……」
「初恋かぁ」
「勝手に初恋って決めつけんなよ!」
「え、違うの?」
「……」
「……」
「ち、違くないけど。……ア、アイス早く食えよ!!」
ダイはふてくされる様に唇を尖らせて、私をギロリと睨み付けた。
「あぁぁぁ!!」
手元のアイスを見ればポタポタと溶けはじめていて、次に慌てるのは私の番になる。
「ぎゃっ!!服についたぁ!!」
「何やってんだよ」
「ハンカチ忘れたぁ!!」
「お前、女だろ?ほら」
「ありがとう!!!」
「情けねぇ……」
結局、色々と言い合いながら1日はあっという間に過ぎて、朝……というか昼と同じ様にダイに家まで送って貰う事になった。
家につく頃にはすっかり日が落ちていて、辺りは真っ暗だ。
「じゃぁ、今日は車出してくれてありがとね」
「おう」
助手席から出て反対側の運転席に回って、ダイに視線を落とす。
何とか無事にユミのプレゼントも買う事が出来たし、寝ているだけの日曜日では無くなった訳だし。少しはダイに感謝しなくてはならない、と思う。
「来週にはあっちに帰るから」
「え?あぁ、うん」
一瞬何の事を言っているか分からなかったけど、すぐに大学の方へ戻るんだと理解出来た。
「あの、さ……」
運転席に座るダイが俯いた状態で口を開くから、表情が全く見えない。
「あれ、結構傷付いたんだからな」
続けられた言葉は多分、子供の頃の会話で出てきた話の事だろう。
「ご、ごめん」
「謝られても傷付くんですけど!」
ダイが冗談っぽく返してくれるから助かった。
それでも、私達の間に沈黙は続いて、先に口を開いたのはダイの方だった。
「俺さ、就職。こっちでするから」
下を向いていた顔を上げて、痛い位に真っ直ぐと私へ向けられた視線。
「え?」
「じゃぁ、ユミの結婚式でな!」
なんてダイが口元を緩めて優しい笑顔を見せるから。
「なによ……」
ダイの車が見えなくなって、家の前で1人残された私は心にぽっかりと穴があいた様に急に寂しくなってしまった。
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