九条蓮との出会い
ポスターに記された住所を頼りに、聖司は商店街の外れにある古びた一軒家へと向かった。周囲は寂れた雰囲気が漂い、他の建物とは異質な空気を放っている。
玄関の前に立ち、深呼吸する。なぜか鼓動が早まっていた。意を決してドアをノックすると、低く響く声が返ってきた。
「……入れ。」
扉が軋む音とともに開く。中に立っていたのは、異様な風貌の男だった。
九条蓮――
浅黒い肌に、白髪が混じった長髪。その瞳は淡い灰色をしており、まるで霧の中に光る星のように澄んでいる。だが、それ以上に目を引くのは彼の纏う圧倒的な雰囲気だった。
「お前はすでに目覚めかけているな。」
九条は聖司を一瞥し、静かに告げた。その声はどこか断定的でありながら、深い洞察を含んでいた。
聖司は思わず眉をひそめる。「……どういう意味ですか?」
九条は扉を閉めると、ゆっくりと室内へ誘った。部屋の中は奇妙なもので溢れていた。古びた書物、怪しげな道具、見たこともない記号が刻まれた壁。
「催眠術とは単なる暗示ではない。お前が知っているものは、氷山の一角にすぎん。」
九条の言葉に、聖司は興味を覚えながらも警戒心を拭えなかった。だが、目の前の男は、何かを知っている。そしてそれは、今の聖司の違和感の答えにつながる気がした。
「俺に、お前の意識の深層を見せてみろ。」
その一言が、すべての始まりだった。
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