手習ひはじめ

水無月主水

はじめのはじめ

冴え返る朝は布団に愛される


ふらここやあのこもいまはひとのつま


血だまりに散る花添へて金閣寺

我は散る桜は残る泉岳寺


戀猫や隣の親はネグレクト


亀鳴いて地獄の門の開くかな


尾を切りて売り歩くなり鰹売


藤棚の陰わかちあふ幽的と


誰が活けしくたれはてたるゆりの花


九太はもう去なれたさうな川千鳥


名前には罪なかりけり黒揚羽


尻子玉浮かぶ人気のないプール


願はくは返してほしい夜の秋


君と見る満ちゆく月は欠ける月

満月を覗く宝石鑑定士


戦争と平和と罪と罰夜長


るーるーと狼知らぬ子らが呼ぶ

狼が狼を呼ぶプロジェクト


職を辞しあてどなきまま手帳買ふ


十二夜の製菓しづかに腐りけり


梟は奇妙茂山千之丞 


 「若き日の信長」

柿の木や読経の聲の細々と


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る