友情

溜不飲

友情

私は後ろを歩いている、いま肝試しをしている、近所で有名な廃墟の肝試しに来ている、ずっと後ろを歩いている、そうずっとだ、私が小学生の時も足が彼のほう速かった、中学生の時も部活で結果を残すのは彼だった、高校に進学して未来を目指せるのは彼だった、大学で周囲の人間と馴染めるのは彼だった、ずっとそうだった、この”彼”はずっと自分の前を歩いているなぜずっと歩いているのかなぜみんなついていくのか、そんな理由私が一番わかっている、この人には才能がある、人を引き寄せる才能がある、対して私は聡明で知性のある特製を持っている人間だ、この彼とは違う、私は影の人間だ、先頭では彼がライトを持っている、しかし他の彼の友達の人々は光源を持ち合わせていない、そう。私を含めてだ、私は影だ、この何人も集められた中、ライトを持ち合わせない中で、一番後ろの私が影なのだ、そう私は影なのだ、中学生のときも、高校生のときもそう大学生になった今だってそうだ、そう現に、そうなっているのだ

私は後ろをついていき、ずっとついていくだけの人間なのだいつからこんなふうになってしまったのか、いつから、こんなに自分は影になってしまったのか、そうこいつは人と仲良くするのが得意なのだ、仲良くするだけのカスなのだ、羨ましい、こいつは自分にないものを持っている、口惜しい、羨ましい、切ない、悔しい、切ない、切ない、負の感情を私を支配する、苦しい、考えがまとまらない、、、、しかしこのライトを持った彼と言う光源についていかなくてはならない、理由はなぜか?自分もわからない、負けた気がするからだろうか?非常に悔しい、まともな思考になれない

慣れない、前に光があるから、そんなことを考えていると、、、、視界が真っ暗になった、突如走る全身への激痛、私はどうなったのだ?急に眠くなる、ねむく、なる



目が覚めた、夢だったのか、それとも、と考えるうちに足と頭への激痛が現実へと目を覚まさせる、足は折れている、歩けない、絶対に歩けない、頭はずっとくらくらしている、きっと床が抜けたのだ数メートル先に床が抜けたであろう穴が存在する

これは絶望だ、確実に絶望だ、誰も助けに来ないきっとこの真っ暗な中死ぬんだ、だからこんなにプライドが高い私でも言えることを言う、「誰か、、、、、」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

友情 溜不飲 @okiiniiri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る