2025年3月14日(金) 無能な私は

 本日は休暇でありましたから、サングラスを探したり、服を探したりするのと同時に本も買いました。私は、自覚のできるほどに精神の女々しい男なので、悲劇的な方向に物語が動くかもしれない、端的に「この物語はこういうものだ」というのをあらすじから読み取れない小説は嫌いなのです。わがままな注文でしょうが、あらすじや紹介文を書く人間には、そういう人間がいるということを認知してもらった上で仕事をして欲しいものです。(ただし自分の精神が鬱になっているときに書く鬱屈とした小説は、なぜか読めます。きっとそれが自分の精神状態の遍歴であるからでしょう。かつ、それを書くことによって溜め込まれていたマイナスの感情を吐き出したという事実を知っているから、拒絶のしようがないのかもしれません。そういう面で見ると、私は小説の執筆を、いわばリハビリのように捉えているとも言えます。)


 そんななので、感情が負の方面に動くことのないであろう思想書を2つ買いました。ブッダとニーチェです。私はこれまで小説は読んでも思想書だとかいうものを古臭いだとか、カビの生えたものとして唾棄していた節がありましたから、ちゃんと「読もう」と思って誰かの思想を学んだのはこれが初めてです。

で、それら2冊とも、彼らの言葉を引用したものなので短いわけです。なので午後の時間だけで読破できました。したがって私の知っている哲学的・思想的なものは——断片的か体系的かを問わず、かつ自分が賛同できるかどうかすらも別にすると——3人+1つになりました。ブッダ、ニーチェ、富野由悠季の考え方と、新渡戸稲造の記した武士道です。


 さて今回は思想の中でも、私が今やっていること、つまり創作について一家言ある富野由悠季の言葉を反芻しながら、さて自分は一体どうかと考えました。

結論から言うと、私は無能でした。彼のように要領が良くないから、問題点を広く取り扱うと言うことができない。彼の代表作ガンダム・シリーズのうちの1つ、Gのレコンギスタについて彼は

「総論をやって映画5本できた」

と言いました。すなわち何らかの作品の中に論題を多く散りばめて、かつ整合性をつけることのできる人間というわけです。


 翻って自分はどうか、これはできない。要領が悪く帳尻合わせのできない人間だから、自身が伝えたい論は各論が1つ、どれだけ頑張っても2つしか搭載できない。そんでもって、言い訳がましいが若輩者であるから問題点を深く掘り下げるだとかそういったこともできない。「浅く狭く」が今の精一杯なわけです。


 ここまで考えているうち、当座の・・・私は信条とか信念という凝り固まったものが嫌いですからいつかは変化しているかもしれませんが、当座の目標は定まりました。

「狭いのはどうしようもないから、とりあえず深くできるようにしよう」

と思ったわけです。要領の良さだとかそういうのは生来持っているものだから矯正するのは難しい。だが論の深さならば、溜め込んだ知識量とそれを活用できるようになるだけの場数とに正比例して深くなっていく。ならば自分は狭く深くになろうと決心したのです。


 そのためにはどうするか?これは簡単かつ人並みの言葉でどうにかなります。

経験と知識を増やす、これだけです。(これは創作どころか仕事でも学びでも同じでしょうが・・・)

そのために私はどうするか?分割してまず知識から行きましょう。いい本を読む。つまり紙の本を。

大抵紙の本になるだけの小説は、資本を背景に自費出版した物でもない限り、各出版社のプロフェッショナルが鑑定して、ゴーサインの出たものだけが出てくるわけです。つまり自分で探すよりもより確実に、良い物が選べる。読めば表現の幅、心情描写の仕方、物語へのメッセージの隠し方云々をキチンと学べるのです。

次に経験。これは簡単で、とっとと社会に出ちまえば一発解決・・・なのですが、学生の身分ですからそうもいかない。ならどうすれば良いかと考えたところ、自分の「社会」を広げる試みをし続ける他ないでしょう。ボランティアなり、アルバイトなり、なるたけ数多くの他者と接する機会を持つ。そしてその接触を深化させることが重要ではないでしょうか。 幸いに今はSNSだとか、すごい物だとバーチャルなアバターを使った不特定多数とのコミュニケーションができるアプリだってあります。各地を放浪したり、楽なものでも文通しかなかった過去と比べて、遠くの人間と圧倒的に簡単に接することができる時代に生まれたのは僥倖でした。


 さて、ここまでつらつら戯言を述べてきたわけですが、これを達成しなければ私は成長しない。なのでみなさん(読んでいる方がいるかはわかりませんが)には、私が成長しているかを、どうか生温かい目で見ていただけると幸いでございます。


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