第4話 発表と花婿修行
「2人とも今日うちに来れる?」
学校で俺はウラーとナタリアを家に来ないかと誘った。
「私は大丈夫よ。お母様もソラくんの家ならOKだって」
ウラーは婚約者がいるが、うちには妹もいる。そんな誤解を招くことはないのだ。
「私も大丈夫だ。何か話か?」
ナタリアは感がいい。
「あぁ、ちょっとここでは話しづらいからね」
そして2人は一緒に、俺の家へ向かった。
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「話って何だ?」
家のリビングに着いた途端ナタリアに問いかけられた
「俺さ、婚約することになったんだ」
「「…」」
え?どういう反応…?
「おめでとう!お前よくやった!」
「ほんと!ソラくんおめでとう!」
ナタリアは俺の肩を掴み、ウラーは涙目になっている。え?そんなに喜ぶ?
「で、相手は?」
あ〜、やっぱり気になるよな
「ウターシャ。ウターシャ•シャオ•カラータ。カラータ家の長女だよ」
「「ガチで…?」」
ん?有名だから知ってるよね
「お前!奇跡だぞ!いや奇跡以上だぞ!」
奇跡以上って…何じゃそりゃ?
「まぁ、俺も驚いたよ。叔父さんの友人だったらしくてさ、日曜日から花婿修行やることになった」
意外と緊張してるんだよな〜、俺の事情を知っているカラータ家の人はいいとしても使用人さんとかがな〜。たまにいるんだよな、養子のくせにとか言うやつ。やべ、百面相するとこだった。
「2人さ、婚約してるじゃん」
「まぁそうだね」
「それでさ、1ヶ月後に婚約パーティーで来週には婚約発表するみたいでさ。昨日初めて会ったのに写真撮影までさせられてガチ大変だったんだよね〜」
本当に大変だった。ましてや公爵の家だ。行くだけで緊張すると言うのに婚約者との顔合わせ+写真撮り、そして花婿修行しよう!なんてことを言われた。疲れないはずがない。
「婚約パーティーか〜。1ヶ月後ってさすが公爵だね。忙しくなるだろうね」
「「いや、王族の婚約者がそれ言っちゃダメでしょ!」」
さすが公爵じゃないでしょ。王族の婚約パーティーってすごいんだろうな。ウラーと俺はハモってナタリアに向かって叫んだ。当の本人は笑ってるけど。
「うちの婚約パーティーは相手の家のホールでやって来客者は親戚と両親の仕事の関係者ってところかな〜。あ、婚約指輪をうちは交換したよ〜」
「私のところも同じだ。まぁ王族だったから結構な人数だったがな」
なんか思い出して青くなってるけど大丈夫そ?まぁ王女様の婚約だからな〜。いろんなところに挨拶に行ったのだろう。
「そっか〜、2人ともありがとな」
「おう、花婿修行頑張れよ!」
なんかニヤニヤしてるし…意外とナタリアって腹黒なんだよな〜
「早めに伝えてくれてありがとう!頑張って!」
うん、ウラーは優しい。婚約者の人は嬉しいだろうな〜。こんな素敵なやつと結婚できるんだから
「うん、頑張るわ!」
そして、2人と別れ、数日後俺とウターシャの婚約が発表された。
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「ソラ様!婚約おめでとうございます!」
「あ、ありがとう…」
俺とウターシャの婚約が発表された次の日、話しかけて来なかった女子や男子が話しかけてくるようになった。なんか涙目になってる女子がいるけどどういうこと?男子もなんか羨ましい顔をして睨んでるけど。まぁ予想してたから別に大丈夫だけどね
「いや~、お前も大変だな」
「いや、王女殿下と婚約してるだろ。お前は」
「私の時も大変だったが、今回はどちらともモテているからな。」
「いや、ラターシャは分かるけど俺はモテてないでしょ」
俺は苦笑いをした。だがその話が聞こえていたらしいクラスメイト全員が俺を見た。え?俺何か言った?
「はぁ、お前は周りの事を理解していないな」
「これでも5年間頑張ったんだけどな」
「はいはい、その話はいいけどもうすぐ最終下校時間だよ?」
「あ、やべっ!」
忘れてた!マナーレッスンあるのに!
「2人ともまた来週な!」
「おう!」
「じゃあね!」
そして俺はダッシュで帰った。あ、廊下は早歩きな。走ってはない。
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日曜日になった。初めての花婿修行。唾を飲み込む。いや、2回目だけどこの大きさはちょっと…慣れないわ!
「あ、ソラ様。初めまして、使用人のソマーシェ・プラナと言います」
「あ、初めましてまして。ソラ・シャオ・イシャーラです」
俺は慌てて挨拶をした。この人…魔力量がえげつないな。戦闘メイドとしても雇ってるのか?普通に魔法師団に入れそうだけど…
「リビングにラターシャ様がいますので挨拶してからお部屋にご案内する形でよろしいでしょうか?」
「あ、はい。お願いします。」
そうか、ラターシャも今日は休みか。そしてリビングに行くとラターシャがいた。そして俺の存在に気づいたのかソファから立ち上がった。
「ソラ!お久しぶりです」
うん。笑顔がかわいい…。政略結婚だが、ウターシャが相手で良かった。
「久しぶり、ラターシャ。今日から毎週お邪魔するね」
「はい!よろしくお願いします」
ペコリとお辞儀をするウターシャ。
「そ、ソラ様。お部屋にご案内します」
あれ?プラナさん、すんごい驚いてるけど何かあったのかな?
「あ、お願いします」
そして、部屋に案内された。相変わらず広いな〜。道に迷いそうだ。
「うわぁ〜綺麗な部屋ですね」
俺がそういうとプラナさんが微笑んだ。
「カラータ家の時期当主ですから。修行といっても良い場所を紹介しないといけません。」
やっぱりそう言うことだったんだ。俺が平民だった頃のリビングぐらいの部屋だな。さすが公爵だ。
「それにしても、ソラ様はすごいですね。絶対笑わないと言われているラターシャ様を笑わせたのですから」
「え?会った時からあんな感じでしたよ?」
え?ラターシャって笑わない人だったの?プラナさんはまた驚いている。
「あなたがラターシャ様の婚約者で良かったです。今後ともラターシャ様をよろしくお願いします。」
「はい。こちらこそ。あ、私は何をすれば良いでしょうか?花婿修行の内容をよく知らなくて…」
「そうですね…ラターシャ様と一緒にいてあげてください。それがいいでしょう」
まぁ、それが良いか。
「分かりました。」
そして俺は用意してもらった部屋を出た。そしてラターシャがいるリビングに向かった。
「ラターシャ、改めてよろしく」
俺は手を差し出した。そしてラターシャは握り返してくれた。
「こちらこそよろしくお願いします」
ラターシャは微笑んだ。
「さて、俺は…私はどうすれば良いかな」
やべ、俺とか言っちゃったよ。
「ふふっ。別に私の前では良いですよ。敬語じゃなくて。素を見たいですし」
ラターシャがそう言ってくれた。なら良いかな?
「じゃあ、ラターシャと2人だけの時はそうするね」
「はい」
そして俺はリビングでラターシャと話をした。時間が経ち夕方になった。
「そういえば、すごい魔力をラターシャから感じるんだけど魔法使えるの?」
これは会った直後から気になってたこと。お義母さんもお義父さんも使えるっぽいけどラターシャは別格だった。それこそ魔法師団のエースほど。だがそんな質問をした時俺はラターシャに手で口を塞がれた。
「んぐっ」
「この事は内緒にしてください。良いですか?」
俺は頷いた。そしてラターシャの本当の気持ちを知ることになった。
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