20話「聖女、襲来!包囲網を突破せよ!」

首都への逃走を続ける社長一行。


笑顔の絶えない村――改め、サイレント村を後にし、彼らはすでに首都の門を目前にしていた。


だが、目の前にはすでに大軍が待ち構えていた。


無数の兵士たちが槍を構え、包囲の布陣を敷いている。


そしてその中央、黄金の杖を手にした一人の女――聖女が立っていた。


彼女の目的はただ一つ。


社長を処刑すること。


「異端者よ。よくも私の息子を……」


聖女の瞳が光り、黄金の杖を持ち上げる。


社長、全身から嫌な汗が噴き出す。


「いや待て待て待て!誤解だって!俺の股間の息子は息子だけど、息子じゃないんだよ!!」


聖女、冷徹な視線。


「それがどうした。」


「通じねぇぇぇ!!」


社長、涙目。


鉄槌おじさんが腕を組み、膝を鳴らす。


「静粛ニー。」


「静粛ニーじゃねぇよ!!なんでそんな静かにする技で突破できると思った!!」


ドゴォォォン!!!


膝が炸裂する。


だが、光の結界に弾かれ、逆に膝を負傷する鉄槌おじさん。


「ぐっ……この結界、静粛ニーを無効化する……!?」


社長、さらに焦る。


「無敵すぎるだろ!!」


その時――


「ニー保険のご案内です♪」


生保レディ、また現れる。


「今、あなたが直面しているのは"聖女による異端者処刑リスク"ですね♪」


社長「そんなピンポイントなリスクあるか!!!」


生保レディ、笑顔で続ける。


「そんな時こそ、愛人ニー保険! 異世界貴族の愛人にされる際のニー蹴りによる被害を補償します♪」


聖女、ピクッと眉を動かす。


「誰がこいつを愛人にするのよ。」


「可能性の話です♪」


生保レディ、完璧な営業スマイル。


社長、余裕ゼロ。


「いや、保険とかどうでもいいから!この状況どうにかしろ!!」


聖女、黄金の杖を振り上げる。


「もういい。あなたに裁きを与えます。」


――杖が光る。


巨大な神罰の槍が出現。


全員、消滅の危機。


社長、諦める。


「終わった……」


――その時。


「ちょっと待ちなさいよ!!」


生保レディ、聖女の前に飛び出す。


社長、驚愕。


「え!? お前、命かけるほどニー保険に情熱あるの!?」


生保レディ、すっと手をかざす。


「聖女様……あなたの力は素晴らしいです。」


「?」


聖女、手を止める。


「ですが、聖女様の力こそ、最高級のニー商品になり得ます!」


社長&鉄槌おじさん、ポカン。


「は?」


生保レディ、ドヤ顔。


「聖女ニー保険!この世で最も強力なニーによる被害を最大5億ゴールド補償!」


聖女「な……!?」


生保レディ、畳みかける。


「神罰のニーを放つあなたなら、ニー市場を制することができる!」


聖女、まさかの戸惑い。


社長、全力でツッコむ。


「お前、戦闘の流れ止めて何やってんだよ!?!」


――その一瞬の隙をついて、鉄槌おじさんが社長を担ぎ上げる。


「逃げるぞ。」


「は!? え!? えええええ!!??」


社長が叫ぶ間に、全速力で撤退。


聖女、まだ生保レディの提案について考え込んでいる。


こうして、社長一行は間一髪で包囲網を突破した。


だが、問題は何も解決していない。


彼らの逃亡劇は、まだまだ続く――。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る