第27話 帰宅②
新高岡駅を出発後、次の停車駅である金沢に向けてつるぎ号は倶利伽羅峠を越えている。
席に座って荷物を棚の上にあげ、同窓会の前に買っていた本たちを読み始める。
ミステリー小説やライトノベルを読み進めているとすでに金沢を発車していて、なんならもうすぐ小松に着くところだった。
金沢で人がたくさん乗ってきて、現在の乗車率は8割前後といったところか。
小松・加賀温泉・芦原温泉と列車は進み、次の停車駅は福井県の県庁所在地駅である福井。関西からの北陸需要が高いのは福井と石川であり、サラリーマンも観光客もよく利用している。2024年3月以前ならわざわざ敦賀で乗り換える必要がなかったので利便性が非常に高かったのだが、新幹線開通によって利便性が少し低下した。
まあ僕は乗り換えを苦と思わないので大丈夫なんだけどこれで鉄道から高速バスへと移動手段を変更した人もいるはずだ。
車内チャイムが鳴って福井到着を知らせる。乗っている人の3割近くの人が降りる準備を始め、デッキへと移動しようとしていた。
列車は音を立てずに福井に着いた。たくさんの人が下車するのが見えたが、それ以上と思われる乗客の列ができていた。
降りる人が折り切ったところで乗客がたくさん入ってきて、気づけばほぼ満席の状態に。
次の停車駅の越前たけふは乗降が多くないので終点である敦賀までこの混雑率は続くのだろう。
そして列車は福井を発車し、福井平野を高速で駆け抜けていく。
高架から見える景色に目を奪われているとあっという間に越前たけふ駅到着予告が流れる。北陸本線時代もそこまで距離が離れてるわけではなかったから結構すぐ着く印象だ。
越前たけふ駅では僕の予測通り、乗降が多くなかった。まあ若干乗車率が減ったくらいかなぁ。
越前たけふ駅を出て、ついに北陸本線時代からの難所だった北陸トンネルに入った。そしてそのタイミングで自動放送が稼働した。
『まもなく、終点、敦賀です。お出口は左側、13番乗り場です。北陸本線・湖西線・小浜線はお乗り換えです。今日も北陸新幹線をご利用くださいましてありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。』
このアナウンスが流れたので荷物棚からキャリーバッグを取り出してデッキへと移動する。乗り換え時間は12分だが敦賀で少しだけお土産を買おうと思っているのでそこまで余裕はない。ある程度買うものは決めてるので急いで買うしかないか。
列車は北陸トンネルを抜け、敦賀駅の13番乗り場へゆっくりと滑り込んでいく。
そして列車が止まり、ドアが開いた。
ドアが開いたあと、ホームへと乗客たちが雪崩れ込んでいく。名古屋方面に行く人たちは乗り換え時間が8分しかないから結構急いでいるんだろう。
時間に余裕があるのでいったん改札を出てお土産と駅弁を買った。
そして改札内に戻って特急サンダーバード22号大阪行きが待っている33番乗り場へと移動し乗り込む。指定席は3号車だったのでそこまで移動せずに済んだ。
名古屋行きの特急しらさぎ号が先に出発するのを見送った4分後、13時14分。
特急サンダーバードは静かに敦賀駅33番乗り場を発車した。
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