暴走する天然ちゃん

 ゲームをしているとカナヨは、

「わたしの名前アイがよかったなー」

 って言い出したんです。

 

「なんで?カナヨもいいと思うけど?」

「だってー、自己紹介のときに…アイはミーとマイが好きって言いたかったの。」

 と。

 

 …

 

 くだらねー

 

「あー、それは残念だね。」

「ほんとそれ。カナヨ界隈では、どよめきの嵐だよ」

 

 

 …

 

 意味がわからん。

 

「あ、もうこんな時間だ。元の世界に戻らなきゃ」

「…そうね。元々、元の世界にいるけどね」

「てへ、、そうでした。明日も遊ぼうね、博士」

「だれが博士だよ」

「たしかに……よくみたら、たかしダニカニ?」

「意味わかんねー」

「それは、賛同ー。そんじゃーねー」

 

 と、幼馴染は帰っていったのであります。

 

 

 

 カナヨは…やっぱり…ヒマ人だ。

 

 まぁ、オレも相当だけどね。

 

 

 なんだかんだで、寝て起きてダラダラしていたら、あっという間に次の日なんよね。

 

 

 授業の一時間は、あっという間じゃないというのに…

 

 

「カナヨ、そろそろくるかなぁ?」

「うん、もうそろそろくるって」

「あーね………ってカナヨ⁉︎いつからいるん⁉︎」

「え、二時間前」

「なら、起こしてくれたらよかったのに」

「うそ、ついさっきこっそりと拝借した」

「なにを拝借?ついさっき来たんじゃなくて?」

「え?なぞなぞ?」

「もういいよ…で、ゲームでもする?」

「またぁ?わたし達、新婚だよ?」

「いや、学生だし…そもそもただの幼馴染だから」

「はい?ただほどこわいものは、ありませんよ?わかります?」

 

 

 …

 

「あ…はい」

 なんか怒られた。

「いいですか?幼馴染は、ただじゃありません‼︎テストに出ますからね。キチンと‼︎キッチンと‼︎覚えてくださいねっ‼︎」

 

「えと…はい。」

 

 なぜキッチン…台所と一緒に覚えなきゃならんのよ?って思いつつも、ちゃんとお返事るすお利口さんなオレ。

 

 

「で、今日はどんなおままごと希望ですか?挙手でお願いします。はい、そこのあなたどうぞ」

 

 

 …

 

「いや、オレ…まだ手あげてないし…」

「あら、そうなの?心の手があがっておりましたけど?まぁいいわ。手より口を動かしなさいな。」

「あ、はい…じゃあ………ってかさ、おままごとってなんだよ⁉︎子どもじゃねーんだからさ」

「あら♡ならば、あんなことやこんなこと界隈ですの♡?」

「いや、意味わかんねーから。てかさ、もうすぐミニテストじゃん。勉強する?」

「あ、いいね!じゃあ問題出します‼︎ババア‼︎」

「?なんて?いまババアって言った?」

「あー、ババンって効果音つけようとして間違った」

「…あー、じゃあ続けて」

「はい、では第一問‼︎幼馴染は、いくらですかっ‼︎」

 

 …え?

 

「あのー…テスト勉強…するんじゃ…」

「うん、そうだよ?」

 

 …

 

 仕方ない…少し付き合ってやるか。

 

「はい‼︎」

「では、そこの小僧め」

「小僧いうな。…えと、答えは、一円より上…とか?」

「はぁ…そんなこと言ってくるんだ?一円ってなに?先生さっき言ったよね?ただじゃないよって‼︎だから答えは、ただじゃない‼︎リピートアフタミー」

「え…と、幼馴染は、ただじゃない…」

「はい!いいでしょう。では、お勉強してください。お勉強してください」

「するよ…。じゃあ次はオレが問題出すね」

「おお、いいじゃない。その喧嘩買ってやろうじゃないの。いくらよ?」

「いや、お買い物じゃねーから。じゃあ、この問一のやつやってみて」

 

 

 …

 

「え?わたしが?わたしに…わたしにこんな難しいやつやれっていうんだ?どうせわたしなんてガムになって踏まれて靴底でベタベタになって、うわ…きたねーって嫌な顔されてグチャグチャにされればいいって思っているんでしょ?べちゃべちゃのグチャグチャになればいいって思ってるんだ?」

 と、高速早口で言い出すカナヨ。

 

「あー…そんなこと誰も思ってないって。じゃあ、答え教えるね。ここをこうして、こうすると答えが出るんだよ」

 って丁寧に教えてあげた。

 

 するとカナヨは、

「すご〜。やっぱり丁寧な暮らし界隈の人ってすごいね〜」

 って、感動していた。

 

 

「いや…カナヨ…この前授業ちゃんと聞いてた?」

「あー…、あの時…ね。実は…言いにくいんだけど…電波の届かないところにいて…」

「おい、浮気の言い訳みたいになってんだよね。」

「あー、はい。認めます…」

「え?カナヨ…彼氏もいないのに浮気って…なに?しかも授業中に浮気って…なに⁉︎」

 と、取り乱すとカナヨは

 

「実は…教科書見ないで…消しゴムと浮気してました。」

 と、薄情したのでありました。

 

 

「くだらん。」

「えっ⁉︎くだらんとは、けしからん‼︎消しゴムだけにケシからん‼︎その言葉、消しなさい!消しゴムだけに。」

 ドヤ顔するカナヨ。

 

 …

 

「あー……、はい。けしからんくない…っすね。」

「はい、よろしい。じゃあ、次の問題もこのペースで解いてみてくださいね」

 

 いや、カナヨがわからないから教えて欲しいだけだよね?

 

 ま、いっか。

 

「じゃあ、次はここね。これはこうしてこうだからこうなるんだよ?」

「あー、わかりやすい‼︎先生よりわかりやすい!なんでだろう?電波が届きやすいから?あ、近いと耳に入ってくるのかな?ならば…実践あるのみ」

 

 カナヨは、いきなりオレの耳もとで…

 

「もっと教えて」

 と、ささやいた。

 

 

 ⁉︎

 

「ぉおいっ‼︎やめろって」

 

 めっちゃゾワゾウしたぜっ…

 

「え……じゃあ、もう教えてくれないの?やめろってことは、もうダメ?教えないと泣いちゃうぞ?」

 

 …

 

「いや、教えるけど…けどね‼︎もう耳元で話しかけるのやめて…ほしい」

「あ、了解〜。じゃ次の問題教えて♡」

 

 

 カナヨさん…。

 

 オレは、あなたのその天然のせいで…めっちゃ心臓バクバクでどっと疲れましたって…。

 

 

 続く。

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