The day after Valentine's Day -曙-


「……先生呼んできて。〇〇〇号室の患者さんが目を覚ましたって。

ご家族にも連絡して!」


唐突に騒がしくなった夜明け前の病室。

その喧騒を脇に当の本人は落ち着いた様子で窓から見える徐々に白みつつある景色を眺めていた。


(来年こそは、渡さなきゃ絶対。……ううん、そうじゃないそれよりも)


やせ細った体だったが、眼光だけは強い意志を含んでいた。


(リョースケ君に、会いに行かなきゃ。少しでも早く)


夢から覚めた彼女は白んだ空に強く思うのだった。

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