第2話 不気味な来訪者

薄暗い城内にゆっくりと、明かりが灯る。

光宮界【こうきゅうかい】と呼ばれる城は今は廃れていた。


「誰か、そこに居るの?」


声をかけながらも、少女は嫌な胸騒ぎを覚えていた。久しぶりの来客ではあるのだが……。

時刻は、丑三つ時と呼ばれる時刻。まともな来訪者など来るはずが無かった。


「やっと見つけた……」


来訪者の真紅の目が狂気を含んで嗤う。それは少女を恐怖に震えさせるには十分な笑みだった。


「あなたは誰なの?」

「僕はキミをずっと探してたんだ。キミが居れば僕の夢は叶う」

「イヤ!嫌よ。私はもうこんな力は欲しくない」


そう。こんな力は少女には要らない。これは破滅を齎す力だ。だからこそ少女は、この寂しい城内に1人で居る。


「その力使ってもらうよ?僕のために」


なのに不気味な来訪者は、真紅の瞳に狂気を宿しながら少女へと手を伸ばす。


「イヤ!やめて!」


振りほどこうにも、しっかりと手を握られた。

そして、いつの間にか強い力でグイグイと引っ張られてしまう。


「さぁ歌うんだ。この世界に終焉をもたらす為に」


真紅の瞳が狂気に歪む。

少女は短い悲鳴を上げた。

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