殺人鬼の俺を×××しないと君はここから出れないよって話

住田沙夜

第1話ー公衆トイレー

 私の名前は華岡友里。今日は金曜日なので、学校帰りに甘いものでも買いに行こう。そう思い、近くのスーパーに向かう。ここはちょっとしたショッピングモールなので、色んなお店が集合している。靴屋、服屋、雑貨屋…。ここに来てしまうと、いつも目移りしてしまう。

「ああ、そうだ。スーパーに行きたいんだった!」

私は気を取り戻して、スーパーに行った。自動ドアが開き、果物のいい香りが広がる。お小遣いはたったの500円だから、慎重に選ばないと。

「あっ、苺が安いな…でも色んなのが食べたいから、セットないかな。」

私は冒険のように探索をする。

「これにしよう!」

時間をかけて選んだのはバナナだった。バナナにはビタミンやミネラルなどのエネルギー源が沢山入っていて、何より安い!金欠な私にとっては目の光る物だった。そうして、私はバナナが入った袋を片手にスーパーを出た。お宝が買えて何より気分が良かった私の腹に突如、痛みが走る。

「やばい、トイレ行きたい…」

私は顔色を悪くして、近くの公衆トイレに向かった。

 ここは警備の人は居ないが、緊急の時には助かる所だ。案外内装も綺麗で使っている人も多い。が、しかし、なんという事だ。女子トイレに行列ができていた。途中で列ぶのを諦める人もいた。私は本当に緊急だったので、申し訳ないが多目的室に入った。

「危ない…、でも私が使っても良かったのだろうかな…」

少しだけ、気まずい感じがあったがなんとか腹の痛みも消えた。私は用を済ませ、忘れ物がないか確認しドアを開いた瞬間、事件がおきた。

「すまん」

私の目の前に男の人が立っていた。

「君、可愛いのにそんな物持って、ナニしようとしてたんだい?」

男の人はニヤニヤしていた。私は気味が悪い。

「これはおやつです」

私は正直に答えると、男の人は笑った。

「やべー、こいつおもろすぎる」

男の人はそう言って、ズカズカと私を押して個室に入った。私は困惑していた。

「え?」

私は小声でそう言うと、男の人は不思議そうな顔をした。

「なんだ?俺の事知らないのか?」

私はそれを聞いて、男の人の顔をまじまじ見たが、私の脳内には何一つ浮かばなかった。

「なんですか、性的目的ですよね」

私は投げやりに言うと、男の人は苦笑する。

「悪いがそう言われるとなんだかなあ…。そうだ、俺バナナ農家なんだよね。分からないことがあるなら何でも答えるよ。」

「今のこの状態がわからないです。あと、その顔でバナナ農家って意外ですね。ホストとかの人かと。」

私は即答した。こいつの顔は意外にイケメンな顔をしている。

「嘘!ホントに?俺ホストに入れるかなー」

あれ、後半の事しか頭に入ってないぞ。私は呆れてため息をつく。

「俺さ、実は殺人鬼なんだ。気分もいいし、今から言う事に従えばここから出してやるよ。」

…は?今なんと言ったんだ?私は今凄いことを耳にした気がする。

「つまり…?」

私は今、目の前に殺人鬼がいるのが、信じられなかった。男の人はズボンのポケットからナイフを前に突き刺し私に向ける。そして口を開いた。

「殺人鬼の俺を恋に落とさないと君はここから出られないよって話。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

殺人鬼の俺を×××しないと君はここから出れないよって話 住田沙夜 @sumidasaya0803

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画