留守電契約

stdn0316

第1話

 仕事から帰ると見慣れない携帯番号から留守電が入っていた。


「お世話になっております。▲不動産の望月と申します。この度お客さまに大変お得な物件についてご案内させていただきたくお電話しました。またご連絡させていただきます」


 事務的な女性の声だった。手当たり次第に掛けているのだろう。不動産投資の営業かと思い無視した。


 翌日も留守電が入っていた。


「お世話になっております。先日ご連絡させていただきました件、ご興味を持っていただけて幸いです。物件詳細についてご案内させていただきます。◾️◾️県✖︎✖︎市にある3LDKのマンションです。ベッドタウンとして人気が高まってきている街でして、想定利回りは10%を超えてくる見込みです。現在16戸の物件に328人が入居済みでして、満足度も非常に高く、入居者からは、熱い、痛い、楽にしてくれ、何で4階なのに窓に女が張り付いてるなどの声をいただいております。誰も来ていませんが1日に50回以上鳴るインターホンも寂しくならないなどとご好評いただいております。ご契約いただけるとのことですね。手続きが終わり次第またご連絡いたします。」


 着信拒否した。

 掛けてきた携帯番号を調べても、特に相手に関する口コミなどはなかった。


 翌日別の番号から留守電が入っていた。

 低い男性の声だった。


「望月で望月ですご契契約約ありがとありがとうございますまずは契約した部屋に来来てくださいさい地下にあります563階83号室ですお待ちしておりますお待ちしております」


 話し声の近くでは何人かが拍手している音が聞こえる。




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