第10話 〜エピローグ〜魔王はこうして受け継がれていく
──時間が流れ、魔王城の広間に新たな支配者が誕生した。
リオ・アーデン。かつて世界を救うと誓った勇者が、今や魔王の座についた。
その姿は、以前のような煌びやかな光に包まれてはいなかった。むしろ、どこか重みを感じさせる空気が漂う。
彼は、魔王の力を宿しつつ、真っ直ぐな眼差しで広間を見渡していた。
「……これで、いいんだろうか?」
一度は魔王を討つべきだと信じていた自分が、今度はその座を受け入れた。
「リオ様、覚悟は決まったのですね。」
フィリアがそっと近づく。彼女の顔に少しの安心の色が見える。
「うん。これが……世界のために必要なことだって分かったから。」
リオは小さくうなずきながら、ゆっくりとフィリアに目を向けた。
「俺が魔王になったことで、世界がどう変わるのか……正直、まだ分からない。」
「ですが、リオ様ならきっと、この世界をより良く導けます。」
フィリアの声は、優しくも確かな信念を感じさせるものだった。
リオはその言葉に少しだけ笑みを浮かべ、深く息を吸い込んだ。
「魔王になったからって、何も変わるわけじゃない。でも、これからは俺がこの役目を果たさないと。」
その時、城の窓から柔らかな光が差し込み、リオの顔を照らした。
「俺は、魔王としてこの世界を守る。魔物を暴れさせないように、秩序を保ち続けるために。」
その誓いとともに、リオはゆっくりと歩き出す。
まだ先は見えない。どんな未来が待っているのかも分からない。
だが、彼の胸には確かな覚悟が宿っていた。
そして、その背中を見守る者たちがいることを感じながら──
新たな時代の幕が開ける。
魔王に転生したが勇者が既に城の前まで来てた タルトタタン @pepenti
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