第40話 誰かにとって不要なもの
2017年07月20日(木)12時23分 =
「遅かったね、二人とも。それと...、君たちは...なるほど、二人が世話になったみたいだね。」
私たちは
私たちは
「...そんなに警戒しないでくれたまえ。別に私以外ここには居ないし、追われているわけでもない。それに、別にその子をどうこうする気もない。その子が
「さすがに気づいちゃいますか...。」
「ああ。気づくも何も、君たちはソレから流れ出ているものに気が付かないのかい?」
その言葉が指し示すものが気になり、ちらりと
「気づくって...何をですか?」
「...いや、なんでもない。最近忙しかったからね、良くないものが見えていたみたいだ。それで、どうだいこの街は。相変わらず何もないところだが、いいところだろう?そう思わないかい、
「ひゃいっ!」
名前を呼ばれて恐怖と驚きの入り混じった悲鳴のような返事が聞こえる。
「最近、うちの研究所に顔を出さないと思ったらこんなところに住んでいたとは。ひどいじゃないか、またいつでも研究所に来てちょーだいよ。いつものようにお茶でもしようじゃないか。」
「あの...、先輩って
ふと疑問に思い浮かんだので先輩に聞いてみる。
「ああ、
やばい、
「まあいいや。呼んだ理由としては明日中にこの街を去るってことを伝えるのと、二人を見てくれた方々を一目見ようと思っていたからなんだけれど、予定が変わってね。」
「予定が変わった?そりゃまたいったいどんな風の吹き回しなんだ?」
腕を組んで話を静かに聞いていたレイちゃんが口を開いた。
「君たち、その子のことについてどれだけ知っているんだ?」
先輩が指をさす先には
「
「そっか。...ちなみに、赤髪の男性に何か心当たりはある?」
「...あるよ。どうせ嘘言ってもすぐに見破れるだろうから断言しておく。」
「なるほどな。であれば、その
「その言い方だと偽物でもいるのかい?」
ずっと無言を貫き通していた
「ああ。まあ、
「えっ、うん。」
急激な空気の変化に驚きつつも
「今から話すのは、6年前にこの地で起こった
2011年12月24日(土)01時22分 =
「
事件の翌日、真夜中に私と
「ああ。
「そうですか。それで、この穴の中に入ればいいんですか?」
例の化け物が出てきた地点には大きな穴ができており、かなり奥まで続いているようで、ライトで照らしても真っ暗闇に包まれてよく見えなかった。
日が出てきてからでもいいんじゃないか、とも提案をしてみたが日が射せば逃げた住民たちが戻ってくるということでこんな真夜中眠い目をこすりながら大穴に降りることとなってしまったというわけだ。
「それで、ドローンで降りれそうか?」
「可能ではある。ただ、かなり狭いから一人ずつね。」
「わかった。それじゃあ一番最初は俺が行こう。最下層に着いたら次の奴が入るという形式でいいな?」
「うーい。じゃ、さっさと行ってきて。」
まあ、そんな感じで順々に私たちは地中に潜っていったわけ。そして、私が一番最後に入ることになった。
最下層に着いたとき、一番最初に感じたのは
「そこら中に切り傷やガラス片、この服みたいなものって...。」
「ああ。...人間の死体だな。大方、爆発に巻き込まれた研究員なのだろうな。」
珍しく
どうやら爆発の発生源はこの
「カプセルのようなものもあるが、全部カラだな。資料系もほとんどないか、そうなると別の部屋にある可能性が高いな。」
それから約2時間、みっちりと漁り尽くして分かったことは大いにあった。
この化け物を生み出すプロジェクトは通称『
しかし、何とも解せないのはその
まあ、つまり言ってしまえば、
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