第33話 八咫烏は見ている - その2
屋敷の中は思ったよりも
「靴はこちらでお脱ぎください。それでは、最初に書斎として使っております風の間からお通しさせていただきます。」
玄関に入ると、道が二手に分かれ正面方向には襖に花や月、鳥と言った模様が刷られており、それぞれ『
何かがあるとすればあそこだろうな。じゃあ、善は急げだろう。
「すまないが、庭を観させてもらってもかまわないか?」
「えっ、構いませんが...。踏み荒らしたりなどはお辞めになってくださいね。」と驚きながら返答をする。
その表情には、疑問と驚きが大きい。だが、焦りは感じ取れない。
「ああ。流石にこの絶景を壊すような真似はしないさ。」
そう軽口をたたきながら、ここまでの道のりを遡っていく。すると、後ろから追いかけるように足音が聞こえ、そして扉を締める音を挟んでから音が近づき後ろでピタリと止まる。
「レイちゃん、こっちお庭じゃないよね?」
「ああ、色々疑問に思ったが至極単純な解答に気付いたんだ。だからその問いの答え合わせをしようと思ってね。」
「疑問…?それっていったい何なのさ。」
「僕はずっと疑問に思っていたんだ。このサイズの庭、枯山水や松の木と日本庭園として風情があると芸術分野にあまり明るくない僕でもわかる。ただずっと、この庭には少し違和感を感じていた。それは何故かとずっと考えていたんだが、ようやく答えがまとまった。この庭は
「ブラフ…?」
「もう限界なのか…。どうやって君が僕と同じ大学に入れたのか甚だ疑問だよ、本当に。まあいい、それでその答えなんだがね。」
そう言いながら僕の行こうとした先に指を指す。
「あっちって、お屋敷...じゃないの?」
「ああ、その屋敷だが少し違う。まず最初に考えたのは、あの蔵の意識を逸らすためと言うこと。
「先入観の落し穴?」
「ああ、さっきの話しだと蔵に何かあると考えるのが至極当然だ。しかし、そう簡単な問題じゃない。先ほどの話は
「それで、その落し穴を避けた先に何があるのさ?」
首を傾げ質問してくる
「それを調べるのさ。一番気になるのは、あの襖に鴉の絵があった部屋だね。あの絵は文献で調べた記憶に間違いがなければ『
「興味を持つのはいいと思うけれど、流石にやりすぎだよ。」
「そんな言葉で立ち止まると思っているのかい?」
「・・・。」
言葉を紡ごうとする
さてさて、どうやって入るかだ。鬼がでるか蛇が出るか、はたまた鴉が出てくるのか。どちらにせよ、楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます