機械人形の街と囚われた少女達

水無月

第1話 「プロローグ」



ー私は普通の生活を送っていた......はずだった。


あの少年と出会った日からこの悪夢は続いている....。

後ろで水が跳ねる音がした。


ダメ……、殺されるッ

恐怖のせいか足が動かなかった。その間にも

"ヤツ"は迫って来ている。コホー、コフュー、、蒸気の音が聞こえる。


ー動いてっ‼︎お願いだからッッ‼︎


足音が近付いてくる。胃から熱いものがこみあげてくる気配がした。死を覚悟したその時、

親友の顔が浮かんだ。

ここで、殺されたら助けられない!私の足は震えながらも前へ前へと進んでいく。ぎこちない、まさに"機械人形"のような動きで。何者かに操られているようだった。


"ヤツ"の機械的な音が聞こえてくる。私は足を思いっきり叩いて走り出した。


ー"ヤツ"から逃げないと!じゃないと、のぞみが……‼︎


肺が悲鳴を上げている。あちこち、足も腕も全てが神経を失ったかのように機械的に動いていた。

私も機械人形にされる‼︎

大きな影が近づいてくる。


ー何で、こんなことにッッ‼︎ハァッッ、ハァッッ‼︎


とにかく私は1人、蒸気とガスが入り混じった路地裏を一生懸命駆けていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

機械人形の街と囚われた少女達 水無月 @Minatuskr

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る