旅する学校図書とおじさん4人の悪巧み

八坂卯野 (旧鈴ノ木 鈴ノ子)

第1話

 都内のちょっとお高めの喫茶店の相席に大澤舞の姿があった。

大学卒業と同時に勤めながら小さな物語を書き暮らし、そして、最近、数冊の物語と絵本を世に出し、それは書籍となって名の知られた賞も頂くことができた。ペンネームは「おおさわん」小学校の頃より使っている大切な渾名だ。


「大澤先生、今日はよろしくお願いします」

「はい、お願いいたします。なんか恥ずかしわね」


 全国学校図書協会新聞というお堅い名刺を差し出しながら、最初にインタビューを申し込んできた桂川舞に驚いたが、同い年であり、何より同じ名前という共感を思い出し、そして取材内容の説明を聞いて快く快諾したのだった。


「では、早速、先生と本の出会いはどんなものでしたか?」

「そうですね、これってちょっと脚色したほうがいい?」

「いえ、思うままに語って下さい」

「そう、なら、場違いだけど……」


 懐かしい記憶を紐解いてみることにしよう。

 小さな町の小さな小学校でのお話を、私の本との出会いと、そして校長先生の話してみるとしよう。


  

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