彼女と僕と鬱な日々

@kenty_

第1話 出会いの春

僕は社会人テニスサークルに所属しているPAエンジニアだ。

この時は24歳だったかな。

PAエンジニアとは、簡単にいうと音楽ライブや講演会などイベントには欠かせない、マイクで集音してスピーカーから音を出す仕事だ。

所属しているサークルの名前は『ゆるテニ』。”ゆる”という文字が付いてはいるが、テニスの内容はそれとは真逆だとよく言われる。要は体制がゆるいから『ゆるテニ』なんて名前がついたんだと僕は思っている。

僕はテニス歴だけがテニスにおいての取り柄だったので、運営者という立場だった。

この物語の相方となる彼女について語ろう。

自慢じゃないがかなり可愛い!ニカっと上がる広角にクリクリな目。キョトンとした時の少しとんがる唇が見事だった。身長は155cm。スタイルは春先のテニスウェアがしっかりと着こせて華奢だが曲線が見事に緩やか、といった感じだった。彼女からは一目見て天真爛漫とはこの事だ!と言わんばかりの可憐さが溢れていた。この小説では彼女の事は『ねり』と呼ぶことにする。


GWも終わりを迎える5/5。

快晴の日、テニスサークルに初参加のねりと出会った。

「今日は来てくださりありがとうございます!運営をしてます、けんてぃーと言います!」

といった感じのファーストコンタクトだっただろうか。

そんなこんなでお互いの名前とテニス歴を認識し合った所で、普段はやらない準備体操を、僕とねりとねりの友達とバジュの4人で行った。バジュは僕と同じくほぼ皆勤賞の22歳の男の子だ。

その日のメンバーは10人ほどだっただろうか。予約していた2面のテニスコートで、他のメンバーには各自ショートラリーをやってもらっていたと思う。

テニスラケットの握りから説明した。彼女の唇はトンガっていた。

説明がひと段落すると、ねりへの恥ずかしさから僕は友達の方とショートラリーを始めた。

その日最大のドキッ!は突然やってきた。ボールを拾いにテニスコートのネットに行くと、ねりもボールを拾いにやってきた。前屈みになったねりの胸元から、白くて柔らかそうな双丘がのぞいていた。童貞か?もちろんそんな訳はない。だが、たかが谷間にあまりにも心臓がバクバクしたのには、我ながら驚いた。


これが僕とねりとの出会い。そして心を奪われた瞬間だった。

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