古びたアパート

天蝶

前編



ある地方都市に、古びたアパートがありました。このアパートには、住人が少なく、いつも静まり返っていました。中でも、2階の1号室には、数年前から空き部屋となっており、誰も住もうとしない場所でした。その理由は、住人が失踪したためです。


ある日、若いカメラマンのタクヤは、心霊スポットを探してこのアパートにやって来ました。彼は、1号室に足を踏み入れると、薄暗い部屋の中に不気味な気配を感じました。彼のカメラは、強い電波に反応しているかのように異常なノイズを発しましたが、それでも彼は撮影を続けました。


タクヤが部屋の奥に進むと、壁に貼られた古いポスターが目に留まりました。このポスターには、数人の人の顔が映っており、その中には失踪した住人の顔もありました。タクヤはそのポスターの中に妙な違和感を感じたものの、特に深く考えることもありませんでした。


撮影を終えたタクヤは、コンビニに寄って帰り道のことを考えていた時、携帯電話が鳴りました。相手は友人のハヤトでした。「おい、見たことあるポスターのこと知ってるか?」と不安な声で聞いてきました。ハヤトが言うには、あのアパートの住人の変わった噂が広まっているというのです。


「彼らが失踪する前に、ポスターが作られていたらしい。そのポスターには、次に失踪する人の顔が映っているんだ。」とハヤトは続けました。タクヤは、ポスターに映っていた顔が気になって仕方がありませんでした。

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