冷たいシーツ
白川津 中々
◾️
今日一日何もできなくなってしまった。
嫌な事をされ、嫌な事を言われた。私は悪くないのに、私の心は踏み躙られた。本当はお菓子を買って帰って、紅茶を淹れて、音楽を聴きながら夜を楽しむつもりだった。温かい湯船に浸かり、儚むことも憂うこともなく、柔らかいベッドの上で眠るつもりだった。明日はきっと素晴らしい日だと、自分は幸せだと感じられるはずだった。なのに、一切合切全てが台無し。あの女の言動で私の一日が汚されてしまったのだ。黄金色に輝いていた放課後が黒くくすんで忌々しい。楽しい気分なんて少しもなく、憎しみと怒りだけが私の胸を支配してしまっている。帰宅して、制服のままベッドに突っ伏し、私は声をあげて泣いた。そんな真似をしても何も解決しないのに、誰かが助けてくれるわけでもないのに、私は泣き続けるしかなかった。
「もう全部、嫌」
悔しい気持ちでいっぱいになった夕方。窓から斜陽が差し、ゆっくりと暗くなっていく。涙に濡れた冷たいシーツが、ずっと、私を凍てつかせて離さなかった。
冷たいシーツ 白川津 中々 @taka1212384
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