第13話 身体の拭き合い
「寒いんだけど。一人で入らせてよ。二人で湯船に入るって、どんだけ貧乏性なのよ」
「しょうがないじゃん。舞白が暴れて私も水浴びまくっちゃったんだもん……。寒いから二人で入ろうよ」
二人で湯船へと入っている。
調子に乗って水の掛け合いなんてするからいけなかったな。中学の頃は、部活のメンバーと頭から水被ったりしてたんだけども。ついつい、そのノリが出てしまったな。もう少しお淑やかにしないとだ。反省。
舞白は、私の膝の上に乗るような位置にいる。
「けど、少し楽しかったです。そういうのしたことなかったし」
「へぇ? 同級生とかとやらないの?……って、百合園学園から飛び級だっけか。私は外部から高等部に入学してきたから、やったことあるのか?」
「うん。それに同級生って言っても年が離れてたし。みんな私よりも頭悪そうだったし、つるまなかったんだ」
過去の話をすると、舞白は暗くなるんだな。なんでそんなになるんだよ、まったく……。
舞白の身体をギュッと抱きしめる。
「今度からやればいいじゃん。私と!」
「……うん」
「きっと、頭の良さだって、私と舞白と同じくらいだよ。はっはっは!」
「そこは、そんな訳ないでしょ。はは」
「やっぱり、イラつくこと言う奴だなぁーー! このこのこのこのーー!!」
私は抱き着いてる手を少しずらして、舞白の小さな膨らみをふにふにふにと揉みしだく。意外と揉んでみると、柔らかくて女の子らしい気もしてくる。まぁ、柊お姉様に比べれば、ひよっこもいいところだけどね。
「ちょっとちょっとーー!! なにやってんのっ……!」
舞白は暴れるけれども、湯船は狭くて思うように動けないようだった。この体制をとった私の勝ちのようだな。ふふふ。
「あぁーっ、お姉ちゃんやめてーーーっ!!」
「はっはっはー! お姉ちゃんの強さを思い知ったかー!!」
……って、舞白ってば私のことを自然と「お姉ちゃん」って呼ぶんだ。……嬉しいな。
「ほらほらほらーー!! お腹も!って、すごい引き締まってるなぁ。太ももも? おぉーこれ、揉みがいあるよーー!!」
「やーめーてーーー!! あはははは、くすぐったいよおぉーーー!!」
◇
しばらく湯船に浸かると、一緒にお風呂を出た。
「こんなにゆっくりお風呂入ったの、久しぶりかも……」
頭を拭きながら舞白がぼそりと言う。
「舞白ってさ、なんか生き急いでるよね? 効率厨っぽいよね。ははは」
「そうだね。風呂なんて入ったって、なんの役にも立たないじゃん。そんなことするよりも、インプットしたいし」
ずっとそういう生き方をしてたんだろうな。
だからこそ、飛び級で高等部に入れるわけだし。生き方自体は素晴らしい事かもって思うけど、思春期は思いっきり楽しんだらいいのに。
私は舞白のタオルを取って、頭をワシャワシャと拭きまくる。
「効率考えたら、こうやって一気に拭いちゃえよーっ!」
「ばかばかばか! こんなにしたら髪の毛が絡む……。……って、今は短くなったのか」
拭く手を止めると、しんみりしちゃいそうだから、頭を拭くのをやめて、今度は身体を拭いてあげた。
「やだよ、身体は自分で拭くてば!」
「はは、遠慮はいらないよー? 私にやらせた方が効率良いんじゃない? 私も色々触れて嬉しいしさー? ふふふー」
この場を暗くしないようにと思って「触れて嬉しい」なんて言ってみたけれども、自分で言ってて気持ち悪いな……。
「よーし、このくらいにしてやるか! はやく下着付けな!」
「いや、千鶴? 私もお礼がしたいって思ったよ! 今日はありがとうね!」
舞白は不敵な笑みを浮かべて、私のバスタオルをもぎ取った。
「ほら、頭を下げな?」
「なんか、舞白に謝っているみたいでイヤなんだけど?」
「じゃあいいよ。私が身体の方拭いてあげるから!」
「いや、ちょっと、待って。……待ってよーー!!」
さっき舞白にやった仕返しなのだろう。ひたすら私の身体を揉みだした。
身体に着いた水滴を取ってくれているのだろうけれども、揉むのがメインになっている。胸から、お腹から、お尻に、足まで。
舞白は私に抱き着くようにして揉んで来る。私と舞白を隔てるのは、バスタオル一枚。
バスタオルを移動すると、触れ合う肌の面積が増える。下半身を拭こうとすると、どうしても上半身は裸で触れ合うことになる。
「……あの、ちょっと、これ以上は止めよう?」
「ヤダ! 千鶴が先にやって来たでしょ!」
「……じゃあ、私も拭いちゃうぞーー!!」
肌と肌、小さな胸と胸が触れ合いながら、お互いの身体を拭き合った。
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