第4話 帰り道

ーーーー帰り道


高橋先輩が一緒に学校に戻ろうって言ってくれたけど...

みんな、同時に学校に戻るんだよねw


「平松、湖桃に会ったのか?」

高橋先輩が話しかけてきた。

「うん。梶先輩に、僕の彼女だ。って紹介されました。」

「そっか、気持ち、大丈夫だったか?」

高橋先輩は、私が梶先輩の事好きだったのも知ってるし、

気持ちのけじめの為に、告白までさせてくれたことがある。

心配してくれているのが、よくわかった。

「もう、大丈夫ですよ。」

「心配してくれて、ありがとうございます。」

頭をポンポンと叩かれた。

「やよいたちにも励ましてもらったし。」

「ねえ、やよい。」

「愛里が、元気になってくれたんで、私も高橋先輩に感謝しています。」

高橋先輩はやよいにも優しく微笑んだ。

「で、さっき、湖桃が気になるってなんかあったのか?」

「湖桃先輩、看板係押し付けられたんですよね。」

「他の看板係の人達も、下書きを湖桃先輩に押し付けてたんですよ。」

「あっ、でも、梶がいただろ?」

「いましたけどね...」

高橋先輩はちょっと呆れた顔で

「梶のやつ、人前で湖桃のこと守んねえからな...」

話しているうちに学校に着いた。

3年10組の教室はまだ電気がついていた。


ーーーー3年10組


教室に入ると、まだ何も描かれてない看板と湖桃先輩がいた。

「湖桃、おまえひとりか?他の看板係のやつらはどうした?」

高橋先輩が声をかける。

「私に下書き描いておくように言って、みんな、帰りました。」

「ひどい!!」

「梶は?」

「浩平(梶先輩の名前ね)は、生徒会の用事で生徒会室です。」

「本当にあいつは!」


そんな会話の中、看板の板と手本の絵をじっと見つめるやよいがいた。


「この絵をこの板に描けばいいですよね?」

「愛里、手伝ってくれる?」

なにを隠そう、やよいは、漫研で、こういうことが得意なのだ。

「はいはい。」

「あっ、高橋先輩も湖桃先輩も手伝ってくださいね。」

私は、二人にも手伝ってくれるように頼んだ。


「とりあえず、この絵と板にマスを書きましょ。」

「板に線引きたいんだけど、長い紐か何かありませんか?」

やよいがマジムードだ。

「紐はないですけど、ソーイングセットならもってます。」

胡桃先輩が言った。

「じゃ、糸かしてください。」

「これで、板にマス目書いていきます。」

「元の絵にもマス目書いて...」

「これで、マス目通りに絵を描いて行ってください。」


ガラッ!


梶先輩が戻ってきた。

高橋先輩が梶先輩に怒鳴った。

「梶!おまえ、もう少し湖桃のこと大事にしろよな!」

「浩平...」

安心したのか泣き出した湖桃先輩。

「梶。俺ら何も見ないから、少し慰めてやれよ。」

「私たちも、何も見ません。」


梶先輩が湖桃先輩を優しく抱きしめている気配を感じながら静かに時間が過ぎていった。


「みなさん、ごめんなさい。もう、大丈夫です。」

「浩平、ありがとう...」


「じゃ、さっさと仕上げて、帰りましょうか。」


描き終わったときは、9時過ぎていた。

「もう、遅いし、平松とやよいちゃんは、俺が送っていくわ。」

「梶は湖桃、ちゃんと送ってやれよ。」

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