第15話「英雄的思考に罪人は孤独を訴える」

佐山はそもそも事故報告から推測される

その感慨に至る、不死のデスパラードをどう思っているだろう

そもそも死を口実に、悪戯に落ち込むのも

また不徳の至りではないか


ただ生きる事にどん欲になれば

それは悪に対して

ある程度の推察、ある程度の危機意識が生まれる


それを佐山は懲役も辞さぬ覚悟で挑んでいる

そして破滅を求めている

それを感じとれる


だとすれば、佐山は死に対して

圧倒的な心理的余裕があり

それを余り隠すほどの余白的

自信があるとされる

では、おかしな話ではないか


世にある犯人像とは

危機的状況かにあるとされる人たちだ

だが佐山は、真逆、

罪を逆手にとって

意見を放つ

これこそ世直しと言っている


つまり成り立つ世界を

双方向から見て

その真に対するべき悪とは何かと


未来を挺して言っている

これこそ、もはや感慨を超えた

新たな政治活動であり


倫理を介さない

一方的な権力ではなかろうか

そもそも私、つまり江坂は

この事件に少なからず異変を感じ取っている


佐山の行動履歴をあたれば

不審な点が出てくる、

という訳ではないが

ただなぜそれをするのか、

そう言った漠然とした謎のメッセージ性に気付かされるのだ


つまりは、人為的な考えでありながら

知性を含んだ、意味を持たせたエヴィファイである


これこそ最大の謎ではないか

彼は交番に紙を送った

これは被害届ではなく、

内容としても内部告発といったものでもない


ただ事件が起こるとされる

場所を伝えて

それを人為的に捜査しないと

警察に踏ませて


そこに目がないのか

あるのかという

簡単なあみだくじをやっている


つまりこれは

場所を報告して

そこに張り込んでいる車種は覆面を

あらかじめ把握するためであると思われる


つまりこれが彼の狙いだ

山荘を言い当てる、

これこそが盲点

警察は自ら、自身の危機意識を悟って

それで捜査を始める


この方法は

グラフィティーにも多用されている

つまり佐山は安全圏を割り出し

そこで準備を進めた


ある程度

警察の巡査を調べて

現場を整えていた


と、考えれば

ピザ君の事も説明がつく


つまり宅配を警察にする

これこそが江坂の目論みであり


その背景には、

流通ルート

もとい、マッピングされた地形に

派遣したのだ


これなら警察と同時刻に宅配を行かせる

これだけで佐山は検察ではなかったかと推察できる


つまり、佐山は警察だ


私はこれを提示して

いるが


しかし、おかしな話だ、

もし国土侵犯による海面上昇テロは


確かにユナイテッドコロニーを作る簡単は方法だ


国が沈む前に受け入れ国を見つける

確かに上手い話ではある


しかしそれは、あらかじめ

事件性を肥大化、

もとい、下準備を相当練らねばできない

と、なれば協力者がいるとされる

つまりこれを泳がすのはいいのだが


佐山の憎いところは

あくまで、犯人であり、秩序意識がない

つまり不能犯であることを演じているからだ


これでは話を聞く、ではなく

話を聴き遂げる、これがニュアンスになってしまう

つまり言い分こそが、社会不安を煽り

その途中にライブ中継、つまり嫌疑をかける方面を

世界的にしたことである


これならばコーポネット、つまり国策テロリストを取り締まる

セントラルシティーが動くが


これを出動させる、つまり、知っている、だけで

相当の知能犯であることが推察される


しかし、これといった考えがない

不能犯に見える点こそが、私以外の検察に露見している点である


死を恐れないのではない、死を受け入れている犯人

つまり、命を知った上での人生を賭けた犯行

これほど強い煽り文句はないだろう


つまりは劇場型犯罪に近く、されど天才を生贄にするような

残虐性もある


つまり、社会に対してどれだけのメタファーがあり

その軋轢に、感慨を巡らすのが

果たしてどれほど雄弁でいるかを自覚した

最大のテロリストといえよう


全く、つくづく、世は狂っている

彼と渡り合うあと十日、果たして私は、世界を救い、

彼の英雄的退廃思考を取り込み、新たな秩序を模索できるか

それにかかっている


全く、全くだ。


「佐山、もし、生きてるなら答えてくれ、なぜ、世界を敵にする」

それだけを言ってやりたい。

それだけが私にもわからない。


つくづく孤独とは犯罪になるのだと

そう、思い至っている


そんな彼らを私は救いたい。

なんてあまりにも独善的すぎると思うだが、

それこそ職である。

では、では。佐山と渡り合おうか。

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