第3話「キッチンは使用不可」
いやしかしピザ君がかわいい。
なるほど、これでは殺人どころではない。
雇われも困るのである。
しかして、ピザの子が帰っていなければ、
今頃、店主が心配になってこちらに来るのではないか。
なんて、錯綜とするが、
事実私は、事件なんて起こる訳ないと思ってる。
だってピザ君はかわいい。
これをゾンビ映画風に、闇落ちさせるのは
いささか芸がないのではないか。
ただ生きては、死んでいく。
これだけのロマンを
ミステリーはただ、誰かによって全うする。
この命の司祭が殺人者など
いやしかし、見飽きている。
例えば、死を持って、死だと言っても。
それは殺人でなければ、事件ではない。
このインスタントロジックは
実に最高で都合のいい、完全犯罪だ。
しかし毒殺でもいいが、
いや、ピザ屋が雇われであれば、
ここに毒があって、
これを食べてはいけないのではないか、
だいたい私は殺人は御免なんだ。
と、言ってるから、素直に帰りたい。
と、言っても、主犯は私だ、だから見届けるまでが仕事だろう。
参った参った。
受け子に、話をさせた時点で、殺されるのは二人かもしれない。
ここを聞きそびれたのだ。
まったく、私も詰めが甘い、
つまり、組織である私が、組織に狙われる。
これも、ありけり。
これもありけり、だ。
しかして、ピザはアリスだとわかっている。
それは福音がアリスだったこと、
これだけで悟れている。
登場人物が、名札をしてるなど、
実に説明文をかかずに済む、
余計な注釈を入れずに済む、
実に現実でも使えそうな、
名刺交換だ。
と、ま、しかし。
どこの運送かは、またご鞭撻、ミスなのか。
トラックで来たか、サイドカー着きの、200CC車で来たかは、不問だ。
まー、エンジンの音がしない分、
幾分、素敵な環境配慮車両であることは、
そこそこわかっている。
しかし、組織の人間が、
ブイブイふかしていない、車両を使うあたり、
プロに思えて怖い限りだ。
しかし、ピザの子は何処へ行った。
事件は起こるのか、
そもそも主犯は誰を殺せばいいか、
わからない。
なんだこれは、
ほんとに、事件になるんだよな。
ミステリーで間違えないんだよな。
なんて、いいながら、事件が起こったようだ。
これは発砲音だ。
誰か死んだか、
ピザの子が死んだか。
おかしい、発砲音が止まった、エンジン音もしない。
逃げてない、いいや、車両は確認してない。
だから静かに帰ったか、
だったら、ここには私だけ?
おかしい、組織は私を狙う。
では、まだ事件ではない、
一体誰が撃たれた。
誰だ。
誰なんだ。
まさか、人が死んでない、
ただの発砲音でもない、
エンジンのサイドキック音か。
おかしい、まだわからない。
確認して行こう。
一つ一つ積み立てれば。
確実にわかるはずだ。
まず、死を待っているのは私だ、
主犯は警察に出向いて、無罪を主張する。
つまり、私は捕まっても、逃れる作戦だ。
だから、通報は私がする。
だが、誰が死んだかがわかっていない、
そもそも発砲音だったてこともわかっていない。
だが、明らかに、銃声だ。
どうしたものか、確認すればいいだろうが、
銃声の方角は、
キッチンだ、
もしかすれば、レンジが爆発したのかもしれない。
まて、まて、
どういうことだ。
おかしいぞ、扉がない。
キッチンにあった扉がない。
まさか、扉が消えた。
これではキッチンに入れない。
そんなSFがありえるか。
いいや、シークレットドアというものか、
とてもいい外観のした、山荘だ。
だから、隠し扉があるのか。
だがありえない。
もしそんな凝った扉があるなら。
空いた時点で
何かしら音がするはずだ、
それに、いま見える、この視界から、
キッチンへ行くには
このダイニングを通る必要があるはずだ、
それに私は確か、キッチンに一回行ってる。
その時は扉があった、
確か、卵をレンジしようとして、卵をレンジに入れて。
こっちへ来た。
まさか、これは。
防腐シャッターか、
そうか、そうだった、、、
なるほど、つまり、卵が爆発した音で、
シャッターがしまった、
安全装置か、
まったく、
私のミスか、
なに、ミステリーではなかったな。
ああ、しかし、扉が閉まってしまった。
これでは出れない、
どうすれば密室になってしまった。
ここからが本番みたいだ。
まったく、山荘の密室なんて、
最高のミステリーの予感がする。
さて、どうする、ここで死ぬのは誰だ。
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