EndActor

生橋 修

第1話衝撃

女子高生達「話題の映画見た?ヤバくない」

「見た見た、あの俳優死んだんだって?」


2036年7月16日にブレーカーという映画が公開された。

その映画に出演した俳優が撮影中にパルクールに失敗し死亡したのだ。

だが、そのシーンは監督が止めようと思えば停めれたシーンでもあり、撮影中断をしなかった監督の責任が問われた。

世間一般ではそんな映画公開すべきではないという批判の声が相次いだが、監督は自ら全て責任を取ると言い、映画公開を強行した。

それは良くも悪くも話題を呼び過去に類を無いぐらいの大ヒット作品となった。

そして僕も話題に便乗しその映画を見に足を運んだ。


映画館に着き座席を取ろうとするがどの時間帯も満席、見るのを諦めかけていた矢先にレイトショーにて空いているひとつの空席を見つけた、僕は必死にボタンを連打し、何とか座席を確保することに成功した。


そして公開の時間になり、席に座った。

隣には若いカップルと、おじいちゃんが座り、カップルはずっと雑談をしていた。

映画が始まっても小声で雑談をしており、内心最悪だと思った。


そして、俳優が死んだというシーンに入った。

隣でずっと話していたカップルもこのシーンの時は話すのをやめ、映画に魅入っていた。

命懸けで挑むアクションシーンはその時映画を見ていた全ての客の心を鷲掴みにした。

まるで、その映画の世界に入り込んだかのように、そこには演技では無い本気の眼差しをした人の生きようともがく姿が熱く描かれ。心にイナズマが走ったかのような衝撃を受けた。

そのシーンは見る人の心に残り続け、隣のカップルもそれ以降話すの辞めていたほどだった。

上映が終わり、僕はずっとその映画の余韻に浸っていた。

帰ったあともしばらく食事も出来ず、あのシーンの事で頭がいっぱいだった。

それから僕はその俳優の事を沢山調べ、なぜ監督が止めなかったのかの考察サイトも読み漁り、そうしてるうちに次第にこんな俳優のような死に方をしたいと思うようになった。


時が経ち2040年現在

撮影には極力CGを使い。パルクールなどは全て廃止になった。

二度と同じ過ちを繰り返さないためにも撮り方も一新された。

だが、あの俳優に憧れる人は多くあの映画以降アクション俳優を目指す人が増えた、そのひとりが僕でもある。

僕はアクション俳優になるために、俳優の卵があつまるレッスン教室にならい、

たくさんの危険なパルクールにも独断で挑戦した。

皆、あの俳優のように死にたい。

その目的でアクション俳優になる人が多かったのだ。

次第に神格化されていった伝説の俳優、その俳優を世間ではこう呼ぶようになった

EndActorと









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EndActor 生橋 修 @osamu_ikuhashi

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