第25話 教育長

 教育長、一口に言っても市にもいるし県にもいるし、数年単位で変わるし、どんなポジションなのかなかなか分かりにくい存在ですが、ひょんなきっかけで今回会ってきました。


 知り合いから「教育長と会うことになったから一緒に来ない?」 と誘っていただきついて行っただけですが、人生何があるかわかりませんね。


 いや本当に。


 新しい教育長になってどんな人だと周囲で若干情報収集になりましたが、市政レベルだと本当にきっかけがあれば会うことは難しくはないなと感じます。


 で、紹介してもらった議員さんとご挨拶して、一緒に行ったのは良いのですが、まさかのっけから自分に話を振られるとは思わず……。


 正確に言えば◯◯小の方はと学校指定でしたが、ひとつふたつで済まない騒動になっていたので、正直ちょっとだけ、どこまでしってるのかなーと感触を知りたくはあったのです。

 

 が、今回私は下っ端だったので口挟まず聞いてるつもりで行ったもので、メインの皆様を差し置いて喋ることになり真面目に変な汗かきました。


 まぁ、でも。


 小説を書こうと思ってた身にすれば、貴重な取材ネタであることは間違いありません。というか、取材がこんなにはかどると、もう逃げられないなぁ、となかなかに怖いなとも感じます。


 前回書いた人事異動もそうですが、もはや教育委員会の内部人事まで情報が回って来るため、頭の中で必死に誰はどの部署で、それぞれの部署がどんな役割なのかパズルのように当てはめてしゃべるわけです。


 何より校長教頭PTA……地元名士の方々の名前は踏まえてないとならず、出身小学校が地元では重視されるとか、教育長と議員と教育委員会の課長レベルと保護者の温度差や価値基準の違いなどが目の前で展開していきまして、非常に有益であったと同時に、たまに自分は一体どこに向かってるのだろうと足元がおぼつかなくなることもあります。


 でもまぁ、大昔仕事で大臣に会いに行ったり、各国大使夫妻招待したイベントやったり、はたまた大御所映画監督のところに取材に行くぞと連れて行かれたり、某美術館館長とあったりするとですね? だんだん殿様会議と呼ばれる世界に迷い込んでいくわけですね。(元大名家の方が館長さんなことが多い)


 ……つまり、今回の教育長はちょっと異色な経歴という話らしく、たぶん一番私が「慣れていた」という結果になってしまったのですが、しっかり裏の意味をのせた大人の会話をして名刺交換をしてきたりしたのでした。


 めちゃくちゃ重い「こちらこそ、大変、お世話になっております」をどこかで作品にも出して、小説内であの雰囲気を再現できたら面白いのではないかと思ったりしています。



 

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