はい此方幸福課、です。

はい此方幸福課、です。

ご案内を頼まれました福山です。

あ、貴方の名前は結構です。

そのまま此方へ。

はい。

では当課の仕事紹介を。

案内を頼まれていまして、はい。

10分程度、きつねに、いや私という美女と過ごしていただけたら。

元いた場所にご案内しお戻し致します。

はい、迷子なんです、あなた。

で、道は工事中。

あらあら、厳選した冗句はお口に合いませんでした？あの世の最先端と伺いましたのに、いえ、此方の話です。

さて。

この扉の中へどうぞ。

はい、このモニタを見て。

二種類の人物がいるの、わかります？

ええ、1パターンは紙束の山を背負い込んだ人

もうひとパターンは重しに押し潰されんと耐えて歩くクズ、おっと失礼、人の形をした生き物です。　

前者は、沢山の貰うべき、もしくは請求するべき幸福、幸運つまり楽しくなる、生きたくなるもの、その権利書を背負う形の人。

なかなか覇氣のない哀しげな人ばなりですよね？

後者はと言うと。

所謂支払い幸運、つまりはお礼や感謝、プレゼントに謝罪、など。

返すべき何かから逃げて、幸運借金苦に押し潰されそうになっている、生き物たち。

みな何かぶつぶつだれかに文句を言ってみたり身の上が不公平だと嘆いたりしていますね？動き回る人を呼び止めたりして。

さて。

貴方の後ろには。

ほら見て下さい。沢山の幸福請求書が。

貴方は貰うものがもらえていなくて、苦しくて此方に来たけれど。

ちゃんと此方で手続きをしておきますからしっかりと、受け止める準備をお願いしますね？

では。

また後日お会いしましょう。

🌕　🌕　🌕

あれ、市役所にいたんじゃ、と目を擦る。

目が覚めて見えているのは心身壊して休んだ、出勤先の制服。

そして。

熱にうなされ触らずにいた携帯メッセージには辞めた先輩からの、体調氣遣う言葉と、一緒に働かない？と仕事の誘い連絡。

さて。どうしようか。