ニジノツヅキの魔術解説:魔術高専の学科について(後編)
学科解説にあたり、魔術高専での成績や適性の方向性をざっくり三要素に分けております。
①肉体面→運動能力、身体能力、スタミナの総合評価。スポーツの成績もそうですが、ハードな活動についていけるかも重要な指標です。
②魔術面→魔術発動に関わる評価。魔術出力、発動容量、魔素含量の三大魔術スペックに加えて、多彩な魔術をどれだけ上手く使えるのかも評価されます。
③学力面→座学の成績。一般教養も魔術理論も引っくるめた、ペーパーテスト全般の評価です。紛らわしいですが「魔術が得意」というような言い方では、魔術理論ではなく実技を指すのが一般的です。
ということを抑えてもらって、それでは各学科解説です。
○魔刃戦技科(魔刃科)
シンプルに魔刃士育成コース。前述の通り、魔刃運用ライセンスを取って戦闘系職種に就くのが基本です。最多は陸上魔警隊、次点で陸上国防隊、後は警察。セカンドキャリアとして教育者や魔刃メーカー関係ですね、戦えるうちに最前線で働くべしという風潮が特に強い。
よって心身ともに「戦える」素養が何より重要ですし、ほとんどがスポーツ経験のある男子生徒です。一方、魔術スペックや学力によるハードルは他学科よりも低い傾向にあります。
ただ「他学科にも行けたけど、やっぱり魔刃士がいい」という熱意でここを選ぶ学生も結構います。独特な情熱に満ちているコースですね。
○支援魔術科(援術科)
魔警隊や国防隊で魔刃士・射魔士を補助するのがメジャーですが、戦闘以外でも需要は多彩。災害対応に工事現場、あるいはエンタメ業界でも。「別の人を起点に、代わりに魔術を発動する」ニーズは至るところにあります。戦闘だけに限らないので、それなりに年を取っても現場に出ることが多いとか。
よって選択肢は多く出番は広く、そのぶん「やるつもりなかったけど呼ばれたのでやる」仕事が多くなりがち。つまり扱う魔術種は広範で覚える事項も多め、詰め込まれがちですね。
ただ、肉体面でも魔術面でも、そこまで高いスペックは要求されない傾向にあります。よって定員数は最も多いですし、男女比もおおよそ半々。
一方で魔術警備隊を中心に、学生時代に組んでいたデュアルごと採用されるケースもあり、この場合は深く狭いキャリアになりがちです。有望な即戦力とはいえ、ずっとバディを組めるわけじゃないので。
○射出魔術科(射魔科)
魔術の発動形式の一つ、射出式魔術(射魔術)のエキスパートを養成するコースです。特に攻撃用射魔術を扱うのはこの学科くらい。
なぜここまで特化するのかというと、それだけ難しいからです。ご存知の通り、近い距離で効果を発揮しやすいのが魔術の原則であり、それに逆らうのには相応の力量が求められます。
同じ戦闘寄りの中でも魔刃科とは真逆、肉体よりも魔術面のスペックが求められます。こればかりは学校での努力で埋めがたい節も多く、適性ゲーと呼ばれがち。
就職先は国防隊、それも海防隊が多めです。魔警隊や警察はやや少なめ。これは、射魔術の需要は魔獣討伐よりも国家間の戦争でより高いためです。よって軍事系のライセンスも取っておくことが多いですね。セカンドキャリアとしては指導者や魔放筒メーカー関係。
魔術面の適性だけなら女子の方が有利と言われていますが、上述の進路事情もあって心理的に向かない人も多く、男女比や雰囲気は代によってまちまち。ただどの代でも、実態は少数精鋭のエリートです。
○衛生魔術科(衛生科)
魔術による医療行為のエキスパート、いわゆる衛生魔技士を目指す学科です。
加えてそれぞれが疾患や外傷に対する専門性を磨き、各種ライセンスを取得。魔警隊・国防隊の医療チームへの就職がメインですが、民間の病院で働く人も多いです。ただ、非魔術の医療行為に先んじての応急処置という意味合いが強いので、重傷者の発生しやすいフィールドで求められがち。体力的に厳しくなった人からよりマイルドな職域へ動くそうです、つまり援術科と同じく現役が長い。
ハードとはいえ医療系、一般人に接触する機会も多いということで、女子の志望が集まりやすい&女子が求められやすいのが特徴。体力・魔術・学力と満遍なく求められますが、突出した素養はあまり必要ありません。ただ、人命に関わるのに特有の心構えは求められます。
○魔獣協働科(
人の仲間である協働性魔獣を管理・使役する、協獣士系ライセンスを目指す学科です。
専門性の高さで言えば校内トップクラス。魔獣との交流に元から慣れているとか、特定の魔獣種との宿精霊の相性がいいとか、そうした適性がないと入るのは難しいですね。そのぶん、魔獣関係の適性があれば他分野は苦手でも大丈夫、とか言われます。実技も座学も魔獣関係に特化しているためですね。
ちなみに魔獣とのコミュニケーションには宿精霊も活用されています。人間同士の繋霊とは似て非なるものですが、詳しくは別稿にて。ただ魔獣も動物ではあるので、非魔動物とのコミュニケーションに近いナチュラルなやり方も重要。ここの学生は動物全般に好かれやすいというジンクスはあります[要出典]
魔獣種ごとにライセンスも細分化されており、その種によって働き先はだいぶ異なります。ただ原則として、魔獣には生息地に近い環境で働いてもらうのが適しています。よって信坂近隣の魔獣を飼育する本校の出身者は、相棒となった魔獣と共に地元の魔警隊で働くことが多いです。
セカンドキャリアとしては協獣育成者がメジャー。
○魔術教育科
魔術の教育や指導に関わるライセンスの取得を目指す学科です。魔術高専の教職員をはじめ、高専以前の児童に対する魔術指導員、さらには研究者や行政職員まで。魔術を扱う人を育て導く専門家、あるいは魔術人材のマネジメント担当です。
他学科とは違い、戦闘や災害の現場に立つ可能性があまりない学科です。よってできるだけ安全に働きたい人には結構人気ですし、肉体的スペックはそれほど求められません。
ただ、学力面のハードルはかなり高いです。教育者を目指すために、他学科の基礎的な知識は全て身につける必要がありますし、魔術理論全般について深い理解が求められます。
また実技にしても、あらゆる形式をそつなく使えるのが望ましいとされています。実戦はなく教育現場を想定するため、強力さよりも丁寧さが重視されますね。
よって女子を中心に競争が激しく、多方面に秀でた優等生が集まります。精神面でも指導者らしさを育てるため、各種活動にも精力的な人が多い印象ですね。マッチョじゃなくてもいいけど体力はマストになりがち。
……以上、6学科。
「結局、どの学科も大変なのでは?」という声が聞こえてきそうですが、それはその通り。方向性が違うだけで、ヌルゲーな学科はありません。だから大事なのは、できるだけ自分に合った学科を選ぶことです。
すると今度は「才能がない人間にはどの学科も無理じゃん」という声が聞こえてきそうです。確かに、人によってはどうにも入れない学科はあります。ただ、どこにも入れないという心配は無用です。
そもそも魔術高専への入学が認められた時点で、どこかの学科でやっていける見込みは確実にあります。目立った適性がなくても、どうにか伸ばしていくようなカリキュラムにはなっています。
だから新入生の皆さんは気にしすぎることなく、日々の課題にコツコツ向き合ってください。
そして受験生の皆さんは、自分の出せる力を出し切ることを目指してください。
あなたの現在の延長線上、一人前のプロになった姿を、誰かがきっと見いだしてくれます。
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