第一話 力という名の正しい使い方


「ただいま」


家に着き玄関の扉を開け、俺はそう言った。

家の中は真っ暗で誰も居ないだろうに俺は思う

(誰かがいて欲しい) そう感じる程

俺は寂しい気持ちが沢山溢れてきた


だが、突然手に入れた能力で何でも出来そうと

そう思い気持ちが昂る、今の俺は感情が分からない

自分がどうしたいのかも分からなくなってきた。


自分の部屋に行き、手に入れた能力を

どう使ったらこの気持ちが収まるだろうか?

「分からない、どうしたらいいんだ」

そう頭を悩ませ、少しの間ぼーっとした


少しして


「あれ?寝ちゃってたか」

ぼーっとしてる間にいつの間にか寝てたみたいだ

気持ちは少し落ち着き窓を覗く、外は結構暗い

「こんなに寝てたのか、てか外暗すぎないか」

窓から見えるいつもの景色は何か黒くよどんでいて学校当たりで何か眩しい光の柱が照らしている


「何なんだあれ」


そう言いながら、俺は何故か玄関まで来てた

自分で考えたわけじゃない、何かが頭の中で


、そう囁いている


頭がズキっとする、次第にその声は

大きくなっていき、突然スっと静かになった


「クソッ頭が痛すぎる、早く来いって

どこに行けばいいんだよ」


扉を開け頭痛でイライラするが

どこに行けばいいのかすぐに分かった。

学校当たりで光っているあそこだろう


「こんなに暗くてあそこだけ異様に光が強い

まさにゴールみたいだな」


外に出て少しして、暗かった世界が

ハッキリと見えるようになった。

その瞬間もうひとつ分かってしまったことがある


「ここは俺のいた世界じゃない、何だ此処は」


そう思ってしまったのはこの光景


俺のいた世界が、全て崩壊して

荒廃している世界だからだ。


それにそこら辺に気味の悪い異形が転がっている


「これは夢なのか?にしても気味が悪過ぎる」


身体に不安と不気味さを抱えながら学校まで

歩いていった。


「何故だ、いつもの通学路は

こんなに遠くないはずだ。」

「何かがおかしい」


不安に駆られながら黙々と学校まで向かった


歩いている最中何かが聞こえる

グチャグチャと嫌な音が少しづつ聞こえてくる

俺は簡単に想像出来た、あの異形だろう。


(家の近くにいたあの異形が何かを食べているのか?)

そう考えながら、音がすぐそばまで聞こえてきた

恐る恐る建物の角から覗くと

大きさが3mはある異形のものが

人の形をした影のようなものを

腕や脚、頭 色々な箇所を

引きちぎり食べていた。


「な、なんだあれは、どうなってるんだ」

頭がおかしくなりそうだった、人のような

影のようなものを食べていてその影からは

血や肉が黒く、まるでインクの血飛沫しぶき

のように吹き出ていた。

異形は食べ終わると目の前の建物の影から人の影を引きずり出し同じことをしだした、その光景を見ながら

俺はただただ嗚咽おえつしていた。



「はぁ、はぁ、」


嗚咽が収まり、落ち着いた

数分の事だっただろう

その頃にはあの異形は居なくなっていた。


立ち上がり、学校へと向かい

ようやく近くまで来れた。


「やっと着いた、ここに声の主がいるのか?」


若干の苛立ちと不安を持ち入ろうとしたその時


「グゥワァァァァァァァ!!!」


突然後ろから化け物のような声が響いた

後ろを向くとさっき見た異形の数倍は

あるようなヤツがこちらを見て走ってきている


「おい、おい嘘だろッ!」


身体は恐怖を覚え動かなかった、だが本能が告げる


《逃げろ!》


その言葉が頭に過ぎり、咄嗟に身体を動かした


「逃げよう、このまま校舎に入って

柱まで行かないと!」


校舎に入り、光の柱の近くまで来た

異形の叫び声が聞こえなくなってきた

「はぁ、、はぁ、、」

「案外あいつ足遅いのか?声はもう聞こえないな」

そう思い、呼吸を整え安心したその時頭上から叫び声が聞こえてきた



「グオァァアアァァゥゥァーーー!!!」


「はぁ?上からとかっ

そんなんありかよ!?」


異形が落ちてきた瞬間に逃げることが出来なく

ボロボロに崩れた廊下で似み合いっことなった

途端に異形はまた咆哮をあげ、そこら辺に落ちてある瓦礫を掴みこっちに向かって投げてくる。


「ちょっまて、それは投げんなよっっ!!」


物凄い速さで瓦礫が俺の腹を擦る

咄嗟に避けたが少しえぐれた気がする。


「どうする?、このままデカブツの投げてくるの全部避けるなんて無理だぞ!」


初めて腹がえぐれてる痛みを感じまともに

考えがまとまらない


「とりあえず、ここを離れよう」


息を切らしながらまた身を隠す

どうやらあの異形は

簡単には俺を見つけれなさそうだ


「はぁ、はぁ、こんな世界でも医務室にはきちんと包帯とかはあるんだな」


医務室の包帯と消毒液でえぐれた傷や軽傷

は少し抑えたが当然、派手に動ける訳では無い


「ちくしょう、どうやったらこの場面を切り抜けれる?」「よく考えろ、俺にはタイムスリップ系統の能力がある、だが使おうと思っても出来ない」

「何か、何かがトリガーのはずなんだ」


色々と考えている間に

また、異形の叫び声が聞こえてきた


「グゥァゥァゥアァァァァァァァ!!!」


考えているうちに叫び声が近づいてきたその時

先程の頭の中に響いた声がまた聞こえてきた


「こんな時にまたかよっ!!」

頭がまた痛い、そう思っていると

声の主が頭の中に聞いてくる


《《問おう、お前は何のために

このちからを使いたい?》》


いきなりの言葉に頭がさらに痛く感じる


「いきなりなんなんだっ?!お前は誰なんだ?!」

そう言っても何も返してこない

「くそ、何のために力を使いたいか?」

「そんなの分かるわけないだろ!いきなりこんな意味のわからない力何に使えって言うんだよ!」


声の主はまた聞いてくる


(ではこのちからはお前は

望まないということでいいか?)


「望まないって何をどうしたらいいのかも分からないのに望まないもクソもあるかよっ!!」


(ほう?それならこの力の一部分をお前に教えてやる)


頭の中にまた声とは別の何かが入ってくる

「ぐっっ、ああっ、痛すぎるっ」


(これで少しはこの力の使い方を分かったであろう

あれを倒し私のもとまで来い)

そう響き頭の痛みは落ち着いた


「そうか、そういうことなのか

これだったら出来るかもしれない」

「それならば何が必要だ?考えろ、考えろ!」


「これだ、これを!」


考えながら医務室から別の部屋へと移動していると

後ろから異形が走って近づいてきた


「俺の命を、削る勢いで来い!」


異形と廊下で追いかけっこをしながら集中する


「ここだ!」


理科室に着き、異形をおびき寄せる


「グゥヮァァァァッー」

異形は気味悪い顔を笑顔のような顔つきと

余裕の表情でこちらを見てくる。


「おい、クソデカブツ!」

「お前のでかい図体じゃこんな狭かったら苦しいだろ?」「さっさとくたばって横になれよ笑」


異形は先程の笑顔のような顔つきを一瞬で変え

牙や神経を剥き出しにし明らかに怒っていた


「そうだ、その調子で怒りくるえよ?」


異形は教室の壁棚や机、色々壊しながら

近づいてき、大きい拳で殴りかかってきた


(集中しろ、俺!!本能で考えるんだ!)


そう思いながら、気づくと自分の手には

先程までなかったものを持っていた

「出来た!!これでしまいだっ!!」

そう言いあるものを異形の

足元に投げ入れた


それは、

すぐさま異形が壊して流れ出たアルコールやら

ガソリン、オイル等に引火した


「グウワアアアアァァァアァアァア」

異形は苦しそうな声を出し続け数分後には

姿かたちさえ無くなり、焦げた匂いが広がっていた


「はぁぁぁーー、疲れたぁー!」


地面にぺたっと座り、大きく息を吐き物凄く安堵した

急に大きい異形から殺されかけ

初めて感じるお腹のえぐれる痛み、夢なんかじゃないことはすぐに分かった。


なにより、自分のこの力がなんなのか

何の為にこの力が出現したのか

もっと気になることが出来た

それを解明する方法はあそこにある光の柱

に居るであろう、頭に響いた声の主に聞いてみた方が

1番早いだろう。


とりあえず今は休みたい

「身体がきつすぎる」


疑問を残したまま

色々と考えているうちに俺は

眠りに入ってしまった。








「どうだったかな?」


「この人間の話は?

実に興味深い事だっただろう」


「初めて使う力を簡単に使うなんて面白いよね?」


「やはり、この話は誰かに聞いてもらうべきだよ!」


「またいずれ

この人間の話を聞いてもらおうか?」


「それではまたこの人間の

運命がどうなっていくのか」


「是非」








《お楽しみあれ》






掌にした能力(ちから)は悪か正義か?



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掌にした能力(ちから)は悪か正義か? Rim @Rim_Alice

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