第3話 疑惑と一歩踏み出す決意

 「でもさ……もし違ったら最低だよな。未来に変な疑いかけるだけだし」

「まあ確かにな。けどそれで気まずくなるくらいなら、腹をくくる方が男らしいってもんだろ」


 拓海は光太の肩をぽんっと叩いた。

地面には朝の日差しが落ちていて、キャンパス内を行き交う学生たちの声が賑やかに響いている。


「よし、まずは様子を見て……それとなく話題を振ってみるか。本当に未来だったらどうするんだ……」

 光太は自分で口にしながら頭を抱えそうになった。

どう考えてもデリケートな話題だ。

それでも、あの動画を見てしまった以上、何も知らないふりをして過ごすのは苦しすぎる。


「……分かった。とにかく、チャンスがあったら聞いてみるよ。拓海、ありがとな」

「いいってことよ。俺も興味あるしな」


 そう言って笑う拓海の顔を見て、光太は少しだけ肩の力が抜けた気がした。


 「未来、ちょっといいかな……」

 放課後、教室でノートを閉じていた三浦 未来に声をかけると、彼女は柔らかく微笑んだ。

「どうしたの、光太くん?」

「えっと、その……最近、動画配信とか、興味あったりするのかなって……」

 途端に自分でも顔が熱くなるのを感じた。

未来は首をかしげながら、「動画配信?」と小さく繰り返した。


「ううん、全然。そういうの、やったこともないけど……どうして?」

「いや……なんでもないよ。ごめん、へんなこと聞いた」

 光太は急いでその場を離れた。


まさか彼女に何も通じていない感じだったし、本当に見間違いなのかもしれない。

かえって混乱が増すばかりだった。

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