自然

「玉緒は自炊しないんだね」

茉莉はある時そんな事を言った。


「私は芸能人だから体型を気にしているのよ」

と玉緒はさらりと嘘をついた。もし体型を気にしているならむしろ自炊してカロリーを厳密に計算する筈である。単に面倒くさいだけだ。


何時の頃からか茉莉は玉緒を呼び捨てにするようになった。まあほぼ毎日顔を合わせてハグしたり膝枕したりしてたら遠慮もなくなって当然だが。


「太るよ」

茉莉は遠慮のない事を言った。


「脂肪は全部胸に行くから大丈夫」

玉緒はこともなげにそう言い放った。


「どれどれ」

というが早いか茉莉はさらりと玉緒の胸を揉んできた。


「……どうだまいったか」

と、玉緒は平然とした態度で言い放ったが実はちょっとびくんとした。


「でけえ」

茉莉は遠慮なく胸を揉みながらそう言った。


「…………」

玉緒は何となく茉莉の胸を揉み返した。


「おお、硬い」

玉緒はその感触に感動して呟いた。


当たり前といえば当たり前だが女子高生の汚れなきおっぱいである。もちろん誰にも揉ませた事などなく、触られた事すらほとんどないだろう。ましてや若さという絶対的なエネルギー源もある。その張りたるや三十路女の比ではなかった。


「……んっ……」

茉莉は目を閉じて声を漏らした。ヤバいエロい。


「…………」

玉緒は茉莉の乳首を舐める衝動をかろうじて抑えきった。その衝動を抑えるためにはより一層入念に茉莉のおっぱいを揉みしだく必要があったが。


「もう、ダメだってば」

茉莉はそう言って玉緒の手を離して少し後ろに下がった。


「そっちが先に揉んできたんじゃない」

玉緒はそう言ってさり気なく責任転嫁をした。そこらへんは三十路女の知恵である。


「玉緒、えろーい」

茉莉は上目遣いで少し笑いながらそう言った。かつて、つい一年ほど前まではお人形さんのように思えた美少女は、もう大人の女になりかけていた。


「うっさいわねえ……」

と、言いながらも玉緒は一歩近づいてさり気なく、いやごく自然に腰に手を回した。もう何も考えてはいない。ただこの娘が欲しかった。


…………




──最初にキスしたのっていつだっけ?

玉緒も茉莉もたまにそんな事を言う。そして二人ともそれを良く覚えていなかった。だが実はそんな事などどうでも良かった。二人は最初からお互いを求めあっていただけであり、その最初の行為などただの確認作業でしかなかったのだから。

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