同棲

新居

「広いね」

私は部屋を見て回ってそう言った。


「3LDKだからねー」

玉緒はドヤった。


「部屋ひとつ余らない?」

私は不思議に思ってそう訊いた。


「そこはまあ、ベッドルームかな」

玉緒はそう言ってリビングの隣にある部屋を指さした。意味を理解すると少し頬が熱くなるのを感じた。



というのが入居前の事である。ベッドルームの予定だったリビング横の部屋は玉緒の物置き兼ウォークインクローゼットと化した。


「意外とモノが多くってさ」

玉緒はペコちゃんみたいな顔でごまかした。


「まあいいけど」

なにせこちらは実質居候である。


「そういえば家賃どうしよう?」

私はそう訊いた。全く払わないわけには行かないけどお手やらわかにお願いします。


「いいよそんなの」

さすが人気フリーキャスター、太っ腹。


「でも茉莉のごはんは美味しいなあ」

玉緒はわざとらしくそんな事を言った。


「しかしモノ多いよね」

私はリビング横の部屋を見ながらそうはぐらかした。


「茉莉のごはんは美味しいなあ!」

玉緒は重ねてそう言った。さすがの押しの強さ。


「はいはい作りますよ」

私はお母さんの気分になってそう言った。


「キャー茉莉!愛してる!」

そう言って玉緒は私に抱きついてきた。



どうもこの人はお姉さんっぽい見た目なのにお姉さんらしくないなあ。

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