同棲
新居
「広いね」
私は部屋を見て回ってそう言った。
「3LDKだからねー」
玉緒はドヤった。
「部屋ひとつ余らない?」
私は不思議に思ってそう訊いた。
「そこはまあ、ベッドルームかな」
玉緒はそう言ってリビングの隣にある部屋を指さした。意味を理解すると少し頬が熱くなるのを感じた。
というのが入居前の事である。ベッドルームの予定だったリビング横の部屋は玉緒の物置き兼ウォークインクローゼットと化した。
「意外とモノが多くってさ」
玉緒はペコちゃんみたいな顔でごまかした。
「まあいいけど」
なにせこちらは実質居候である。
「そういえば家賃どうしよう?」
私はそう訊いた。全く払わないわけには行かないけどお手やらわかにお願いします。
「いいよそんなの」
さすが人気フリーキャスター、太っ腹。
「でも茉莉のごはんは美味しいなあ」
玉緒はわざとらしくそんな事を言った。
「しかしモノ多いよね」
私はリビング横の部屋を見ながらそうはぐらかした。
「茉莉のごはんは美味しいなあ!」
玉緒は重ねてそう言った。さすがの押しの強さ。
「はいはい作りますよ」
私はお母さんの気分になってそう言った。
「キャー茉莉!愛してる!」
そう言って玉緒は私に抱きついてきた。
どうもこの人はお姉さんっぽい見た目なのにお姉さんらしくないなあ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます