大賢者、500年の時を経て転生

中慈晶

プロローグ

今までありがとう。そう言葉を残して意識が消えていく感覚に身をゆだねる。

周囲からはすすり泣くような、歯を食いしばるような音が聞こえる。


とても素晴らしい人生であった


自由気ままに回ったこの世界、出会い別れを繰り返す中で知をひたすらに求め歩くその成果が身を結び80歳になるころに大賢者となったゾシモス。


苦難もあったがそれよりなにより周りに恵まれた。思い残すことは多少あれど心は満たされている


体の重みがふっとなくなる。道を照らすように目の前が光り輝く

お迎えが来たか。


「ようこそ人の子よ」


そこには居たのは神様方だった

「初めまして、神にておわしますか?」

その声を聴きこちらを微笑むその顔は、肯定を意味するのだろう。


「神の御導きのまま、我は何処へ赴くべきですか?」

「この黄泉で飽くまで自由にしてよい」


自由か、とても魅力的ではあるがまた研究の人生を歩みたい。ならばと

「であるならば畏れ多きことながら、もう一度、人の身として生きることを許されませぬか?」


神様は微笑まれる。


すると光に包まれるようにして意識が遠くなる。


「おぎゃあおぎゃあ」

「奥様生まれましたよ!」


新たな生を受け未来を楽しみすぎて泣き叫ぶ

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