第三章 ~最初の接触、明かされる過去~
廊下の奥で何かが動いた気配に、僕たちは息を潜めた。直樹はカメラを構え、彩香はスマホのライトで照らす。僕は、日記帳を握りしめ、その時を待った。
闇の中から現れたのは、人影ではなかった。古びた写真立てが、壁から落ち、床に転がったのだ。その音は、静寂を破り、僕たちの心臓を跳ね上げた。
「…ただの写真立てか」
直樹は、安堵のため息をついた。しかし、僕は、何かが違うと感じていた。写真立てが落ちた場所には、不自然な隙間があった。まるで、隠し扉があるかのようだった。
僕は、その隙間に手を伸ばし、壁を叩いてみた。すると、壁の一部が、ゆっくりと内側に開いた。隠し部屋が現れたのだ。
「これは…」
彩香が、驚きの声を上げた。隠し部屋の中は、埃っぽく、カビ臭かった。しかし、そこには、古びた机や椅子、そして、壁一面に貼られた写真やメモが残されていた。まるで、誰かが最近まで、そこで生活していたかのようだった。
僕たちは、部屋の中に入り、慎重に探索を始めた。机の上には、インクが乾いたペンと、書きかけの日記帳があった。日記帳を開くと、そこには、この館に住んでいた家族の、悲惨な歴史が綴られていた。
「…これは、あの失踪した家族の日記だ」
僕は、震える声で言った。日記には、家族が秘密の儀式に手を染め、その結果、恐ろしい呪いを受けたことが書かれていた。そして、その呪いが、家族を狂わせ、破滅へと導いたのだと。
「…信じられない」
彩香は、日記帳を読みながら、顔を青ざめた。「こんなことが、本当にあったなんて…」
直樹は、カメラで部屋の中を撮影しながら、言った。「これは、大発見かもしれない。この日記を公開すれば、この館の謎が解けるかもしれない。」
しかし、僕は、それどころではなかった。日記を読み進めるうちに、僕は、自分の能力と、この館の呪いとの間に、深い繋がりがあることに気づいたのだ。
「…僕には、わかる」
僕は、日記帳を握りしめながら、言った。「この家族は、僕と同じ力を持っていたんだ。そして、その力を制御できずに、破滅したんだ。」
直樹と彩香は、僕の言葉に、驚きの表情を浮かべた。僕は、自分の過去、そして、この館の秘密について、すべてを語る決意をした。
[直樹の過去]
直樹は、幼い頃から、機械いじりが好きな少年だった。彼は、壊れたラジオやテレビを修理したり、古いカメラを分解して、その仕組みを調べたりするのが好きだった。
彼は、いつも一人で、自分の世界に没頭していた。周りの子供たちは、彼のことを「変わり者」だと思っていた。しかし、彼は、気にしなかった。彼は、自分の好きなことを、自由に追求できることに、喜びを感じていた。
ある日、彼は、祖父の家の屋根裏部屋で、古い映写機を見つけた。それは、祖父が若い頃に使っていたものだった。彼は、映写機を修理し、そして、それを使って、自分で映像作品を作るようになった。
彼は、自分の見た夢や、想像した世界を、映像として表現することに、夢中になった。彼は、映像を通して、自分の内面を表現し、そして、他人とコミュニケーションを取ろうとした。
しかし、彼の作品は、誰にも理解されなかった。人々は、彼の作品を、「奇妙だ」「不気味だ」と言って、敬遠した。彼は、失望し、そして、孤独を感じた。
そんな時、彼は、悠斗と出会った。悠斗は、彼の作品を理解し、そして、彼を励ましてくれた。彼は、悠斗との出会いによって、自分の才能を信じ、そして、自分の道を歩むことを決意した。
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