第12話 騎士団長の家

そこは見るからに立派な屋敷であった。




間違いなくこの世界にきて一番であると言っていい。つってもまだこの世界のことあんまり見てないけど。




屋敷の入り口には立派な門?鉄柵がありその両端に門番が一人ずつ立っていた。




「あけてくれ」




ノワールは門番にそう短く言うと一人の門番が短く返事をし門を開けるように取り掛かる。




しかしもう一人の門番は一向に動こうとしない。




その様子をいぶかしんだノワールは多少の怒気を込めその門番に尋ねる。ほんのささいな怒気を込めて




「早く開けてくれ、お前は何をしている」




「恐れながらお嬢様、急な来客はご承知かと存じますが…」と震えながらも必死に言葉を紡ぐ門番であったがその言葉が聞き入れられることはなかった。




「父には私から説明する。問題はない。」




そういわれてしまっては何も言い返せない。まだ何か言いたそうにしていた門番であったがそれをつばと一緒に飲み込み黙って門を開ける作業へと取り掛かった。




門を通り屋敷の中へと足を踏み入れる。




暗くてよくわからなかったが柱のようなものが等感覚で並んでいる。それは人が近づくことで反応し光を放った。




街でもあった魔石の街灯であろうか?でもこんな機能もあったとは知らなかった。




明かりがつくことでただの道だと思っていたその整地された場所は庭なのだと理解した。




俺の驚いた反応を見てかノワールが話しかけてくる。




「この庭も本当は街と同様に夜はずっと明かりが照らされていたんだが、必要もないのに照らされているなんて私には理解できなくてな、母はきれいだからと言っていたが、それで人が通った時にだけ点くようにしてもらったんだ。」




「それはいいですね。省エネで。」




「省エネ?省エネとはなんだ」




「あっいえ、無駄がなくて素晴らしいという意味です。」




「そうか。」と短く言った団長の目は言葉とは裏腹にどこか僕を覗き込むように見てくるように感じられたのだった。




話題を変えるようにまたさっき普通に疑問に思ったことを口にしてみる。




「その本当にこの屋敷に泊まっちゃってもいいんですか?大丈夫なんですか?」




「それはもちろん大丈夫だ。」と速攻で返される。




「さっきは不快な気持ちにさせてしまっただろう。でも何の問題もない。」




「いえ僕は全然大丈夫ですし、こんな立派なお屋敷だし、門番の反応は自然なものだったと思いますよ。」




「そう言ってくれるとありがたい。」




そういったノワールは心の中で先ほどのことを思い返す。門番への言動を。そして




私も少し強く当たってしまったかな?あとで何か夜食でも持って行ってやるとしよう。と心に決めるのだった。




そうして庭を歩き屋敷の入り口へとたどり着く。




扉を開け中に入り部屋まで案内される。




「この部屋は好きに使ってくれていい。」




部屋の説明や屋敷の簡単な説明、大浴場などの場所を伝えるとノワールはすぐに立ち去っていこうとする。




彼女もいろいろと忙しいのだろう。




何かあったら言ってくれと自室の部屋の場所を最後に伝えて




そして部屋にポツンと取り残される。一人になった喜び解放感などはなくそこにあるのは疎外感と慣れない一室だった。




いつもどおりベッドの上で布団にもたれかかり考える。これからどうしようかと




そうしてシスティアと会話を脳内で繰り広げるうち気づけば眠っていた。


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