第13話
今では、私の命令を聞いてくれる頼りない兄になってしまった。
あの兄は、あの時死んでしまったのか、あの時の兄が見たくて、私はこうしているのかもしれない。
母は、私と兄には気づきもしなかった。
私達は両親のカラオケでは飽き足らず、ホテルへも行ったが、相変わらず兄は成績も良かったし、私と違って反抗期もなく、両親は安心しきっていた。
「その安心が腹立つのよね。
お兄ちゃん、最近女の子からよく電話掛かってくるよね。
あれ誰なの?」
「ただの同級生だよ」
「信じらんない。
お兄ちゃん、今鼻がピクっとしたよ」
罰として私は一つの命令をした。
このことは私の賭けだった。
「あんたって娘は、相手は誰なの?
やっと高校へ入ったばかりで…これからどうするの、結婚したいの?」
誰が?
兄妹で結婚できるものか。
「お父さんも何か言ってください」
「ああ、朱夏、それで、産みたいのか?」
「お父さん…」
さすがは父親、面倒なことは早く片付けるに限る。
「分からない。
正直、どうしようかなってとこ」
「明日は、久しぶりにお兄ちゃんが帰って来るというのに…」
私は、兄とのことがあってから母に対して素直に接することができなくなっていた。
同性としての嫌悪の対象か。
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