滅びの季節

栗栖亜雅沙

第1話

 私と兄がしてきたことは、永遠に秘密だ。

 初めに母に言うべきだったそのことは、兄だけの秘密。

 それを、私が二人の秘密にしてしまったのだ。


 私の母は、連れ子のいる父と結婚した。

 母は初婚で、連れ子は四歳の男の子、私が兄と呼ぶその人だった。


 父と母の夫婦仲は至って円満で、よもや何年か先にこんな風になろうとは考えもしなかっただろう。

 再婚は歯車の一部にしか過ぎない。

 どうして狂ったのか、私にも分からない。


 その時から、兄と私の季節が始まる。

 兄の名前は玄冬しずか、私の名前は朱夏あやか

 二人の滅びの季節が始まった。

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