最終話 我輩は猫である、名前は……
我輩は猫である、名前はレオナ……皆は
まだ子猫の頃に、あまりの美猫の為に飼い主が良く確かめもせずに
獣医に連れて行かれて、初めて
散々、飼い主が商店街で我輩を自慢した為に、すっかり
飼い主の家族だけが、身内だけの時にレオと呼んでいるが、もう遅い。
立派な白い体毛、真っ白い猫である我輩は、ちょっとした有名猫に成り猫雑誌の取材が来た時に飼い主が調子にのり、
「ウチの子は商店街のアイドルなんですよ ♪」
商店街でも有名なアイドルヒロインとして取材に来た人間に飼い主は愛想笑いをするだけだった。
その上、我輩は長い間箱入り息子だった上に子猫の内に獣医に
我輩、先天的な病のせいか少々、耳が遠いのである。 静かな所で、ようやく聞き取れるレベルなのだ。
だから近くで物音がしても気が付かないせいか、我輩は堂々としていると勘違いする人間や猫たちが多い。
話しを戻そう、近所の居酒屋の雄猫ガンモが我輩にプロポーズをして来たらしい
我輩は薬屋に来たお客様の方が気に成っていたのでガンモのプロポーズには気が付かなかった。
そのせいで、我輩がガンモを
我輩、BLには興味も無いから悪く無いよな。
ガンモが振られた噂を聞いたのか、
当然、無視である……せめて、もう少しくらい身だしなみを気を付けて欲しいものだ。
肥えまくっているコロッケは毛繕いが不充分で見るからに不衛生である。
我輩の居る店は薬局である、よって……
「まあ、汚いどら猫がウチの薬局に入って来ないでよ !」と、飼い主の奥様にホウキで排除されていた。
◇◇◇
子供たちが薬局に遊びに来ると、彼らは我輩を見つけてはしゃぎ始めた。
小さな手が、そっと我輩の自慢のふわふわの毛に触れ、我輩を優しく撫でる。寛容な我輩は最初は驚いたが、いちいち目くじらを立てること無く身を任せて目を細めて子供たちを見守っていた。
「
心配している母親たちに説明している飼い主。
「レオナちゃん、かわいいね!」と、ひとりの少女が言うと、他の子供たちも大きく頷き、何度も我輩の名前を呼んでいた。
我輩はそれに応えるように、優雅にその場を歩き回りながら、時々頭を差し出して撫でられるのを受け入れるのだ。
しばらくすると、常連のお客様が薬局にやって来た。 我輩は熟練の看板猫らしくその方にも愛想を振り撒き、しっぽをピンと立て彼に寄り添う。
「レオナちゃん、今日も元気そうだね」とその方は笑顔で言い、我輩におやつを差し出した。我輩は嬉しそうにそれを受け取り、小さく鳴いて感謝の気持ちを伝える。
午後になると飼い主の祖母がやって来た。
我輩は待っていたかのように彼女の傍に駆け寄る。
「今日も一緒に散歩に行きましょうか、レオナ」と優しい声で話しかけ、祖母はリードを手に取っていた。
我輩も気取って、我輩が祖母の護衛をする為に胸を張って歩き始めて行く。
近所の道をゆっくりと歩く二人。我輩は時々、通りを行く人々に目をやりながら、祖母の足元でしっかりと寄り添う。
祖母もまた、安心した様子で我輩と共に散歩を楽しんでいる。
「いい子ね、レオナ。今日はたくさんの人があなたに会えて喜んでいたわね」と優しく語りかけてくれた。
その日の夕暮れ、薬局に戻った我輩は満足そうにお気に入りの場所で丸くなり、そっと目を閉じる。
我輩にとっては毎日が特別な一日である。
明日もまた同じように皆を笑顔にするのが我輩の仕事なのであるのだ。
【猫の日記念】とある商店街の猫たちの日常 月影 流詩亜 @midorinosaru474526707
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