第6話隣の客

あれはCRジャマイカを打っていた時だ。

1万円の投資で連チャンが止まらない。

タバコを吸いながらパチっていると、隣の客のオバサンが、

「お兄さん!玉貸して!」

と、切羽詰まった声で僕に言う。

そう、当時良くある当たったは良いが、玉切れだったのだ。

僕はひとつかみ、上皿に乗せるとオバサンはお礼を言って打ち続けた。

1回目の当たりが終わると、オバサンは両手いっぱいの玉を返してくれた。

しかし、オバサンも当たりが止まらなくなる。

途中、オバサンは席を立ち暫くすると、僕に缶コーヒーをプレゼントしてくれた。

僕はお礼を言って飲んだ。


僕は既に10連チャン程していたがまだ続く。

オバサンも10箱出して終了した。

僕は14箱出して、ウハウハで帰りの支度をすると、あのオバサンが僕にタバコを一箱プレゼントしてくてれた。

マルメンを。

当時僕はマルメンを吸っていたのだ。その後

セブンスターになり、29歳からハイライトを吸っている。


あの頃のパチ屋は、人情味溢れていた。今は、コロナで仕切りがあるし、よほど良い人じゃ無いと玉なんか貸してくれない。

また、タバコ自体も吸えなくなった。

喫煙ルームで肩身が狭くなった。


で、ジャマイカはその時が一番の出玉で、次から出ても5箱。

当たらない日もあった。

あれは権利モノだったよな。

今は権利モノなんて知ってるパチンカーはいるのだろうか?


あの頃はパチプロが数多いて、この台は出るぞ!とか、顔見知りになると教えてくれた。

店に行けば、必ず彼はドル箱を積んでいる。

必死に釘読みの方法を研究した。

半分は裏切られたが。


ナナシーも面白かった。

大当たり消化中に、当たりを引くとまた、そこらから出玉が出る。

でも、消化中の早い時の大当たりは損した気持ちになった。

質素、倹約も大事だが苦しくないくらいの遊びは許してもらいたい。

そう、何万円も使う訳ではないので。


あの頃を思い出すと、今のパチンカーは変わってきた。

1円パチンコはお年寄りのお好み。

沖スロやその他のミドル機種を打つのは若者。

新台だが、回らない。

だから、換金率は低いくてもよく回る僕の今のネグラが性に合っている。

オバサンが隣で出していて、3000円で当たった時は、長かったねぇ〜と言われる。

1円パチンコのお年寄りはまだ、昔のパチンコを知っているので安心する。

時代が変われば、パチンコも変わるのを体感している。

ラッキートリガーなんて要らないね。サクサク当たる甘デジを作ってもらいたいもんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る