賢者と呼ばれる魔法使い

じらお

冒険者たち

 突如としてさまざまな国に現れた巨大な黒い城、ブラックキャッスル。


 ブラックキャッスルから発せられる不思議な力、魔力が原因で出現したダンジョンに潜む凶暴なモンスター。


 そして、抗うかのように現れた、魔力を持つ人間――冒険者と呼ばれる者たち。


 スキルを駆使して敵を屠るアタッカー。

 スキルで敵の注意を惹き盾役となるタンク。

 スキルで味方を補助し、強化するバッファー。

 スキルで味方を癒やし救けるヒーラー。

 スキルで敵に状態異常や弱体化をかけるデバッファー。

 スキルで探索し、先陣を切り味方を導く偵察役のスカウト。


 大きくアタッカー、タンク、バッファー、ヒーラー、デバッファー、スカウトの6つに分けられた職業。


 多種多様のスキル。


 その中でも、誰もが喉から手が出るほど欲するスキルが――賢者スキルだ。


 遺伝や修練、鍛錬は関係なく、15歳になると突然手に入るスキル。手に入れられた者は、この世界で未だ10人。


 そして、そんな賢者スキル保持者である男が、ここにもひとり。


「はじめまして。僕は轟木とどろき悠仁ゆうじん。君たちにスカウトの基礎について教えにきた」


 轟木悠仁16歳。


 彼は、この世界で10人目の賢者スキル保持者である。

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