第54話

「・・・・・・あ、岩清水くん。」

「・・・・・・。」

 誰もいない廊下でうろついていると、誰かに呼び止められる。聞き覚えのある声に振り向くと、俺より少し低いところに頭がある男がいた。

「まだピアスは外してないみたいだね。それに、今は授業中だ。どうして、こんなところに?」

 たしか、この前、生徒指導の奴に怒鳴られていた時、こいつが割り込んできたんだっけ?で、冷静保ってるフリして、注意してきた。二重人格かと思うぐらい、先生と俺に対する態度が違いすぎた。そりゃ、そうだろうけど。

「こっちのセリフだよ。お前もなんでここにいる?今、授業中だろ。」

「僕はお手洗いに行こうと思っていたから。そしたら、帰りに君を見つけた。」

「素通りすればいいだろ。」

「僕は生徒会メンバーだからね。校則違反の生徒には厳しく注意しなくちゃ。」

 ははは、と乾いた声で笑う男。握りしめている拳が少し震えているのを見て、ばからしくなる。面倒だ、と舌打ちすると、男はさらに顔をしかめた。

「舌打ちってどうかと思うけど?」

「・・・・・・。」

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