第29話
テレビをつけると、ニュースが映った。まだ六時だから、ニュースをやっているらしい。基本的に、ぼくの生活リズムはおばあちゃんの生活リズムに合わせている。おばあちゃんは早寝早起きで早い時には七時に寝てしまう。さすがにぼくはそんなに早く寝ることはないけれど、ごはんはいつもこのぐらいの時間だ。学校から帰って来たら、すぐに食べる。そんな感じ。
『次のニュースです。約四年前に亡くなった人気漫画家の【優】さん。人気作の実写映画化が決まりました。』
少し頬を緩ませて、にこやかにそのニュースを伝えるアナウンサーさん。ぼくは、チャンネルを変えた。
たしか、出版社が映像化とか自由にできる権利を持っているんだっけ。お母さんの作品は人気だから、そりゃそうか。
お母さんのペンネームの【優】は、ぼくの名前の由来になった。ペンネームはユウって読むけど、優の漢字はスグルとも読める。だから、ぼくは傑になった。
「傑ちゃん?」
「あ、おばあちゃん。ありがとう。ぼくも手伝うね。」
「え、ああ、ありがとう。・・・・・・大丈夫?」
「大丈夫だよ?どうしたの?急に。」
嘘だ、大丈夫なんかじゃない。ぼくは出版社の人達が嫌いだ。こうやって『亡くなった』ってわざとらしくつけてお母さんの名前を広めていく。同情されたら、作品を映像化していく。嫌いだ。嫌だ。権利とか、そこらへんの問題があるから、子どものぼくは何も言えない。
なんか、嫌だなあ。美味しそうなハンバーグが目の前にあるのに、よだれはたまらないし、食欲も無くなっていく。
そういえば、お母さんのペンネームって田中さんとおんなじ漢字なのかな。
「傑ちゃん?食べるよ。」
「うん、いただきます。」
ぼくはもう、疲れたよ。
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