第14話
「あ、優子ちゃん。おかえり。」
「ただいま、お父さん。」
この人は、きっと私の気持ちに気付いているんだろう。少しだけ困ったような顔をして接してくる時があるから。私と話した後、あの子に声をかけられると、すごくホッとしたような顔をするから。
挨拶だけ。会話も必要最低限。けれど、お母さんの前では話す。そんな関係。馬鹿みたいだと思いながら、微笑んで階段を上った。
私の部屋は、すごく質素だ。ベッドと勉強机。タンスと小さな本棚。ここだけが、安心できる。ポロリと涙がこぼれたことを無視して、数学の教科書を出した。今日、職員室であんなことを言ったから、明日の授業では当てられる気がする。嘘を言ったとバレたら、面倒なことになる。もう、面倒なことはこりごりだから。面倒にならないように、私が私を殺して頑張っているのだ。もう誰も、壊そうとしないでほしい。
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