彼女はだらしがない年上護衛、年下雇い主はそんな彼女を落としたい
@mizu888
第1話 報酬の良い仕事
「コナー、子供のお守りなんて御免だ。他に何かいい仕事はないの?」
どんな仕事でも引き受けるコナー商会。表では町の便利屋さんだが、大ぴらにできないような裏の仕事もある。その裏のほうの依頼を受けている私が、コナーからのめんどうな依頼に抗議しているところだ。
「まあまあ、まずはちゃんと条件を見た方がいいぞ、ニーナ。こんな報酬の高い仕事、今後お前に巡ってこないかもしれないぞ。変われるなら私が変わってやりたいくらいだよ。でも直々にお前を指名してるんだよ。他にもっとおすすめの護衛人を用意すると言ったんだがな、ダメだったからなあ」
「えっ報酬?大したことなかったと思うけれど……っていうかもっとおすすめの護衛人を用意するってなに⁉それはそれで傷つく」
「ハハッ、冗談だよ。ニーナは、人を護衛するような仕事はしてないだろう?だから、受けるかわからないことを伝えて、他のヤツもいいると言っただけだ。お前は暗殺専門だろう」
「んー、そういうわけじゃないけど。どちらかというと…なだけで」
専門というわけじゃない、人を相手するなんてまどろっこしい護衛の仕事より、暗殺依頼のほうが手っ取り早いと言うだけだ。
今回の依頼は、10代の女の子の護衛だった。詳しい素性は明かされていない。面倒に違いない。
「じゃあいいじゃないか」
「今回の依頼はどう考えたって面倒だよ。一日中付きっ切りで護衛って、四六時中面倒なのといるってことでしょ」
「まあ、あの金額だぞ。そのくらいいいじゃないか。他のやつだったら2つ返事で飛びつくんだがな」
ええ?と怪訝な顔をして、契約書と依頼内容をもう一度見てみる。
ほらやっぱり、まあ悪くはないが飛びつくような報酬じゃないじゃないか……と見ていると、ん?……んん?
成功報酬じゃない、着手金だけでこの金額……成功報酬はその10倍以上の金額が提示されている。さらに護衛している間、毎日結生活費用も払われることが書いてある。
「うそ!これ喉から手が出るほどおいしそうな依頼だけど、逆に怖い。とんだ貴族様か何かだろうか?こんな金額、相当ヤバいのか?扱いに困るようなお子様の相手?それは…したくないな……」
「それなら心配いらないと思うが。ほら、そこに座ってるだろう。彼女がそうだ」
応接ソファーが置かれたスペースがある。こちらからはフードを目深に被って顔が見えない。誰かがいることは分かっていたが、雇われてる同業者か何かかと思っていた。いやまさかそこに、そんななりをして護衛対象いるとは思わなかった。
「なんで、もうここにいるのさ?」
めちゃくちゃ、失礼なことをしゃっべっていた気がする。報酬だの、面倒だの、お子様だの。なんで、一言も言ってくれないんだよぉ!
まさか本人がすぐそこにいるとは思はない。そうと知ってももう手遅れだ、コナーにひそひそと話した。
「依頼主が直々にお前に会いたいとさ」
「依頼主?彼女が⁉」
護衛対象で依頼主でもあるというわけだ。護衛対象が彼女だとしても、依頼主はもっと大金持ち風のいかにもって感じの人物だろうと思っていた。
10代の若い少女が、自ら護衛依頼するなんて珍しいことだ。
その依頼主は立ち上がると、フードを脱ぎながらゆっくりこちらにやってくる。
顔をみると16?17?くらい
身長は私より5〜6cmは低いかな、160cmはないくらい。可愛い顔をしてるが、芯の強そうな視線でこちらを捉えている。少し覗いているブラウンの髪は、ほとんどがニット帽に隠されてる。
ぴったりとした暗い色のパンツに、フード付きのパーカー。パーカーのシルエットが大きくて体つきはよくわからないが、足の感じから華奢な体つきだろうと推測した。
「リリ・ヴィディアといいます。面倒はかけないつもりだし、一人でも生活できるくらいには身の回りのことはこなせるし、料理だってできる。悪い条件ではないと思う」
それだけ言い終わると少女は、それ以上話すことはないのかこちらを見ているだけだった。
想像と違った。もっとお嬢様を護衛すると思っていたが、お嬢様のおの字も感じない。
しかし疑問だらけだ。うまい話過ぎてはっきり言ってあやしい。疑って、質問する。
「わからないんだけど、いったい誰が私を雇う金を払うんだ?雇い主は?保護者かなんかいないの?なんで護衛しなければいけないような対象が一人でいる?それから誰から狙われてる?」
矢継ぎ早に質問を投げる。
「金を払うのは私で、雇い主が私。手付金ならもう彼に渡してある。成功報酬で払う分も信用できないなら彼に預けてもいい。保護者なんていない。一人で来たのは、今のところ護衛してもらわなくていいから。これから先やってもらうことになる。命を狙っているのは東の組織の一部だけれど、ひどく危険ことをさせるつもりでもない……だから、この依頼受けてほしい」
もう一つ。なぜ私を指名したんだ?という疑問が残るがそれは聞かなかった。少女一人だから、同性の方がよかったんだろう。運よく私が指名されたなら、数少ない女同業者に移ってしまう種になることは黙っておいたほうがいい。
悪くないかもしれない。
彼女の目が私を捉えている。
私の直感が、この獲物は逃すなと判断して態度を変える。
「もちろん!善は急げだ。座って契約の話をしようじゃない」
笑顔でそう言って彼女が元いた応接ソファーに、肩を捕まえて誘導する。コナーに手招きして呼び寄せると、呆れた顔をされた。
詳しく話をし終わって、本当に目の前に出てきた手付金を目にすると嘘じゃないと分かって、ルンルンで契約書にサインした。
2か月間の彼女の護衛をするという契約。依頼主のリリとそれを護衛をする私との共同生活が始まる。
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