果たして■■は存在するのか、
照門テグス
序章 右遷、もしくは左遷[1]
AM_5:00_フィル教会日本支部
本日の朝もいつも通りシスターに叩き起こされる。
教会に暮らし始めて何年経っても僕がきちんと起床できたときなんて数えるほどしかない。いや、べつに僕が悪いわけではない。悪いのはこの寝心地が良すぎるベッドのせいなのだ。
世界的に見れば割と幸福な人間が多い我らが日本ではこの教会に用のある奴らなどほとんどいないから経費が有り余っているのだ。
男二人、女五人のここの経費は他の支部(どこもだいたい百数人はいる)と全く同じなのだ。そのせいでキリスト教の教会のはずなのに、日々厳かな暮らしを送っているはずなのに、身の回りの調度品、設備、食材までもががすべて一級品になっているのだ。
ちなめに僕が寝ていたベッドは五億三千万もする。それだけ値段がかかっているのもあって見た目も寝心地も最高だ。
まぁ言い訳はここまでにして聖書と讃美歌を持って礼拝堂に向かう。最近は目と舌がこえすぎて他の暮らしをバカにしてしまうようになったなーとかとりとめのないことを考えつつ向かう。礼拝堂について一番衝撃だったのは、國谷 久重、もとい國谷先輩が一番最初についていて、生真面目に聖書を開いていることだった。僕は衝撃のあまり目眩がした。なんなら一瞬暗転した。
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