第8話 監視室

 翌日、俺たちはその廃ビルへ向かった。

 人通りの少ない裏道に佇む、古びた建物。

「ここに、何がある……?」

「沙耶が残した最後のメッセージが、ここにあるのかもしれない」

 俺たちは慎重にビルの中へ入る。

 埃っぽい空気。朽ちた壁。

 だが、奥へ進むと、ある部屋の前で俺たちは足を止めた。

「この扉……開いてる」

 俺はゆっくりとドアを開く。

 そして、目の前に広がったのは——

 無数のモニターが並ぶ、不気味な監視室だった。

 モニターには、複数の映像が流れていた。

 学校の教室。沙耶の家の部屋。俺たちの家の前。

「これって……!」

 瑠璃が息を呑む。

「誰かが……俺たちを監視してる……」

 俺は震える手でキーボードを操作する。

 すると、一つの映像ファイルが目に入った。

 『氷室沙耶_最後の記録.mp4』

「……これだ!」

 俺たちは急いで再生する。

 画面には、氷室沙耶が映っていた。

「私、もう逃げられない」

「でも、これだけは伝えなきゃ……」

「私を殺したのは——」

 その瞬間、画面がブラックアウトした。

 そして、スピーカーから不気味な声が流れた。


「お前たち……見つけてしまったな」


 俺たちは固まった。

「……誰だ?」

 だが、返事はない。

 代わりに、モニターが次々と消えていく。

「証拠が消されちゃう……!」

 瑠璃が必死にデータをコピーしようとする。

 だが、そのとき——

 バンッ!

 ドアが勢いよく開いた。

 そこに立っていたのは——

 俺たちが決して疑わなかった“ある人物”だった。

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