第5話 暗号
「……何か、録音データが隠されてる」
瑠璃が鋭い目で指摘した。
「さっきの映像、音声を波形解析すれば、ノイズの部分を取り出せるかもしれない」
「瑠璃、それやってみてくれ」
彼女はすぐにPCを起動し、音声データを解析し始めた。
「……あった」
彼女の指が止まる。
「5つのノイズが埋め込まれてる」
「5つ?」
「まるで“暗号”みたい……」
瑠璃はイヤホンを装着し、一つずつノイズを解析し始めた。
最初のノイズを再生すると、かすかな囁き声が聞こえた。
「……彼が……」
「誰かの名前……?」
2つ目のノイズを再生する。
「……ウソつき……」
「沙耶は、誰かに裏切られた?」
3つ目のノイズ。
「気をつけて……」
4つ目。
「……あの夜……」
そして、最後の5つ目のノイズが流れた。
「——カメラの裏に」
「カメラの裏?」
俺と瑠璃は顔を見合わせた。
「カメラの裏ってことは……彼女の部屋?」
瑠璃が頷く。
「沙耶ちゃんの部屋に何かあるのかもしれない」
だが、氷室沙耶の部屋はすでに警察の捜査が終わっている。
「どうする?」
俺は悩んだ。
すると、スマホが震えた。
天城颯真からのメッセージだった。
——『お前たち、沙耶の部屋に行く気だろう?』
——『なら、俺も行く。』
「颯真……?」
俺は決意した。
「行こう、沙耶の部屋に」
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