アズール・イン・ユア・アイズ
地崎守 晶
「アズール・イン・ユア・アイズ」
「バカなのアンタ?」
倉弓彩の灰色の目が、額で皿回し&三重跳びに失敗した僕を射抜いた。体も心も痛い!
窓の外は相変わらず曇天。
空模様が曇りで固定されて、彼女の青い瞳が灰色に変わった。きっと瞳が空と繋がったんだ。従って瞳の色を戻せば空も元通り。QED。
コンタクト、眼鏡はダメ。多分、彼女の心が曇っている。だから、心の底から笑わせる。
ギャグ・一発芸を毎日披露しても、彼女は顰めっ面。
「悪いのは君の心を曇らせた奴だよ、だから笑って」
ウインクを一つ。
「だったら思い出しなさいバカ!」
瞳が揺れ、涙が零れる。外は大雨。
「アンタから告白してきたのに!」
教室に満ちる雨音。僕は縄跳びを踏んですっ転ぶ。衝撃。消えた記憶が閃く。
蒼穹の瞳に惹かれて。係の仕事で二人きりになった時告白して。
「OK貰ったら頭打って記憶失くして」
「そうよバカ!って、思い出したの?」
ぽかんとした彼女と目を合わせ。
「倉弓彩さん、こんなバカな僕だけど君が好きだ。つき合ってください」
雨音はいつしか止んでいた。彼女の顔がほころぶ。のぞき込んだ瞳の、目の覚める蒼穹に吸い込まれる。唇に、柔らかい感触。
抱き合う僕達を、窓から差し込む日の光が包み込む。
アズール・イン・ユア・アイズ 地崎守 晶 @kararu11
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